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1.はじめに
株式投資初心者にとって、「バリュー株」は聞きなれない言葉かもしれません。
しかし、バリュー株投資は定番の投資スタイルの一つなので、今後継続して投資をしていく意思があるのなら概要や銘柄の探し方は知っておきたいところです。
今後の投資手法の幅を広げるためにも、まずは基礎的な知識を身につけましょう。
今回の記事では、バリュー株と同様に有名なグロース株の説明とともに、それぞれのメリット・デメリット、投資方法について解説します。
2.バリュー株とは?3つの特徴
バリュー(割安)株とは、利益や資産から導かれる「企業価値」と比較して株価が割安のまま放置されている企業のことを指します。
バリュー株は売上や利益の成長期待が薄かったり、投資家への知名度が低いことで割安に放置されている場合が多いです。
株価が割安に放置されているため、株価の見直しが入った際に株価の上昇が見込めます。
この章では、バリュー株の3つの特徴について解説します。
2-1.適正株価より割安な株価で推移している
株式投資の世界で広く用いられるバリュー株は「割安株」とも呼ばれています。株価は本来、その時点の企業価値を適正に示す指標です。それに対して、現在の株価が適正な株価を下回り、多くの投資家から本来の企業価値より低く見積もられている状態が続いている株をバリュー株もしくは割安株と呼びます。
2-2.知名度や成熟企業によく見られる
バリュー株の株価が割安な状態で推移するのは、主に、以下のような理由であると考えられます。
・知名度が低い、投資家からの人気がない
・中長期的に企業の業績に影響を及ぼすことが懸念される悪材料が公表されている
・成熟企業であるため、成長余力があまりないと判断されている
上記からもわかるように、バリュー株の株価が低迷しているのは、業績不振や財務状態の悪化によるものではありません。業績が悪く、財務状態も悪い企業の株価が下がっていても、それは割安な状態とは言えません。なぜならこの場合、現在の低い株価は、企業価値を適正に示した結果であるにすぎないからです。バリュー株の割安感は、企業の経営実態は好調であるのに、あくまでも負の投資家心理が株価低迷につながっている状態と認識しておくとよいでしょう。
2-3.配当も期待できる
何らかの理由によって、バリュー株の時価は適正な株価を下回っているため、今後、本来の企業価値に見合った株価に向けて上昇する期待が持てます。このように、株価の戻りによる値上がり益を狙って投資するのが「バリュー株投資」です。
さらにバリュー株投資によって、好配当を狙うこともできる。好配当利回りを長期にわたって維持している銘柄の中には、業績が好調なバリュー株があるからです。配当を長期間実施する企業は財務的・経営的に安定している優良企業や成熟企業であることが少なくありません。こうした企業に対する一時的な悪材料のニュースが公表されることで売りが進み、株価が低迷したまま放置されてバリュー株となるケースもあります。場合によっては定期的に配当も得られるため、利益率も拡大します。
米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏と実質的な彼の投資会社であるバークシャーハサウェイは、バリュー株投資を投資手法の柱に据えています。彼がバリュー株投資によって、一代で巨額の資産を築いた逸話は世界的にも有名なお話しです。
3.バリュー株のメリット・デメリットとは
前章ではバリュー株の特徴についてご紹介しました。
- 適正株価より割安な株価で推移している
- 知名度や成熟企業によく見られる
- 配当も期待できる
上記のような特徴のあるバリュー株について、この章では、そのメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
3-1.バリュー株投資のメリット
3-1-1.低リスクで運用可能
バリュー株の特徴として、グロース株に比べて株価のボラティリティが低いことが挙げられます。
ボラティリティとは、株価の上昇や下落の幅のことです。
3-1-2.配当や株主優待を受けやすい
バリュー株では安定的に配当や株主優待を出している企業が多く、配当利回りも高い傾向にあります。
そのためキャピタルゲインよりもインカムゲインを重視している投資家におススメです。
3-2.バリュー株のデメリット
3-2-1.大きなリターンが期待しにくい
バリュー株は割安な点にも表れているように市場からの期待があまり高くないため、グロース株のように株価が10倍になることはほぼありません。
また、割安だから必ずしも株価に見直しが入るというわけでもないため、ずっと割安のまま放置されるリスクもあります。
4.グロース株とは
グロース(成長)株とは、売り上げや利益の成長率が高く、将来にわたり大きな株価上昇が期待できる企業のことです。
ニーズが拡大しているサービスを提供し業績の急拡大が期待できる企業や、革新的なサービスや商品を提供することで新たな市場を開拓する企業などがグロース株として見られます。
そういった企業は研究開発やマーケティング、人材採用に注力をする時期もあるため赤字であることもしばしばあります。
4-1.グロース株投資のメリット
グロース株の最大のメリットは、短期間に株価が2倍、3倍に成長することも珍しくないことです。また中長期的に企業成長が期待できる銘柄に投資をすることで、株価が10倍、100倍、それ以上に成長する可能性もあります。
米国のアマゾンの株価は、1997年5月の1.73ドルで上場してから、2021年2月5日現在で約3,350ドルに上昇しています。第2、第3のアマゾンにも投資できることがグロース株投資の醍醐味です。
4-2.グロース株投資のデメリット
デメリットとしては、配当利回りが低い、株価が割高であるケースも多いことなどが挙げられます。また、ファンダメンタルズ(企業の業績や財務状況)を理由に株価が下落した場合、本来の企業価値に株価が収れんする傾向があることにも注意が必要です。この場合、いったん株価が下落すると下落前の水準に戻るまでには時間がかかります。
グロース株の配当利回りが低い傾向にあるのは、企業が利益を株主への配当金よりも、成長のための設備投資等にまわすためです。また、株価が割高ということを具体的に言えば、グロース株のPER(株価収益率:株価を一株当たりの純利益で除した指数)は市場平均より高く、なかには100倍を超えるような銘柄も珍しくありません。
5.グロース株・バリュー株、迷った時の選ぶコツってある?
グロース株・バリュー株のどちらかを購入するか迷った場合に理想的なのが、どちらにも投資することです。
グロース株とバリュー株のそれぞれにメリットとデメリットはありますが、一方の投資スタイルがより優れているということはありません。
グロース株であれば大きな値上がりが見込めますし、バリュー株ならば株価見直しが見込めるという強みがあります。
さらにグロース株とバリュー株は反対の値動きをすることも多いため、どちらにも投資しておくと分散効果を期待できます。
最終的には「応援したい!」「成長性もあるのに割安すぎる!」と思える企業に投資するのがおすすめですが、
以下でバリュー株、グロース株投資に適した環境と銘柄の見つけ方についてご説明します。
5-1.バリュー株投資に適した環境と銘柄の見つけ方
バリュー株は株式市場の急落時に見直される傾向にあります。
株価下落時にはPERやPBR が低下すると同時に配当利回りが上昇するためです。
ですから、バリュー投資家にとって株価急落時は買い場です。市場が落ち着きを取り戻せば、株価の反騰が期待できるからです。
PER、配当利回り、PBRの3項目で銘柄検索ができます。PER10倍以下、配当利回り4%以上、PBR1倍以下で検索すると良いでしょう。
5-2.グロース株投資に適した環境と銘柄の見つけ方
バリュー株とは反対に、グロース株投資は株式市場が活況な時に向いています。
なぜなら、株価が上昇している時はリスクマネーが株式市場に押し寄せ、値動きの軽い銘柄が買われる傾向が強いからです。
株価の上昇が新たな資金を呼び込む材料となり、株価が売りをこなし上昇する環境にあります。
グロース株は時流に乗った銘柄が多く、PERや売上成長率が高いという特徴があります。銘柄探しには証券会社が提供しているスクリーニング(銘柄検索機能)を使うと便利です。
検索にはPER(予想PER)が20倍以上、ROE(自己資本利益率)が20%以上、売上成長率10%以上、時価総額500億円以上、自己資本比率40%を基準に検索すると良いでしょう。合わせて自己資本比率を高めに設定することでリスクを減らすことができます。
グロース株に投資する場合はチャート分析も有効です。値動きが激しい銘柄が多いため売買のタイミングが重要となるからです。基礎的な分析方法を学んでおくと良いでしょう。
加えて、IPO(新規株式公開)銘柄もグロース株に該当します。該当企業は今後の成長に向けた資金調達を効率的に行えるように上場するため、今後の成長が期待できます。IPO銘柄は人気が高く、購入には抽選に当たる必要がありますが、当選確率は高くありません。比較的IPOの当選確率が高い証券会社を選び、地道に抽選に参加を続けるのも一つの手段と言えます。
6.まとめ|バリュー株・グロース株の違いって何?その特徴と選ぶコツを徹底解説!
バリュー株投資とは、割安な株価の戻りを狙って投資するスタイルです。
一方、グロース株は乱高下が激しいため、個別株に投資する場合はリスクが高く、投資初心者には難易度が高い部分もあります。
どちらも銘柄の選び方やメリット・デメリットは異なるため、どちらを選べばいいのかは最初は悩むかもしれません。
その場合に理想的な選択肢は、どちらにも投資することですが、そうは言っても投資とは自己責任で決断するものです。
もし悩んでいるのであれば、まずは投資の幅を広げる意識で、自身の投資スタイルに合わせた検証を進めてみることをおすすめします。