【高校生からの投資】始め方と勉強方法

青木博史

1.はじめに

最近、子供に対する金融教育の重要性について、あちこちで耳にするようになりました。

その原因の一つに、日本の学校の金融教育の遅れがあります。
海外に比べ、日本人全体のお金の勉強や投資に対する認識が低いことが、
日本の教育によるものでであること。

そして、それが日本人の弱みにさえなっているという危機感から、
特にここ数年の間で、金融教育が注目されるようになりました。
ちなみに、この記事の読者は何歳からお金の勉強を始めたでしょうか?

初めて投資をしたのは何歳ですか?

ここでハッキリと「10歳からお金の勉強を始め、投資経験は17歳からです!」などと
答えられる人は少数派だと思います。

「お金や投資については、早く勉強した方が良いのではないだろうか」

実際に、これまで日本の教育では、お金に関する勉強を授業の一環として取り扱うことはありませんでした。

この記事では、特に高校生向けのお金の勉強法や、投資の始め方・投資法について、わかりやすく解説していきます。

2.高校生はまず投資を始める目的を設定しよう


高校生が投資を始めるにあたって、ただ漫然とやってみるだけではあまり効果がありません。

まずは「投資をやってみる目的」について明確にしておくことが大切です

また、なぜ投資をしたいのか、そのきっかけで今後の進み方変わってきますので、この部分もしっかりおさえておきましょう。

  • 親が投資をすすめるから、よく分からないけど成り行きで投資をするのか
  • 高校生が自主的にやってみたいと思って投資をするのか

2-1.高校生が親の勧めで投資を始める場合

まず、一つ目の「本人の興味より親の勧め」によって投資を始める場合について考えます。

「お金の勉強は、必ず将来役に立つので子供の内からやった方が良い」などという漠然とした一般論では、なかなか子供には響きません。

この場合、「なぜ役に立つのか」「どうして早く始めたほうが良いのか」の理由についても、子供にもわかるように補足をすることが重要です。

親から子供にお金の教育の必要性を伝える際、大学進学時の奨学金利用について話すと良いかもしれません。

奨学金の話を高校生のうちにきちんと伝えておくことは、「将来の自分のお金の使い道」に直結してくるので、子供にとっては急激に現実味を帯びてきます。

どこか他人事だった投資やお金の話も、奨学金の話をすることで、自分のお金の話になるので、真剣に考えるようになるでしょう。

ここで補足ですが、奨学金と教育ローンは、どちらも「子供の教育費として」の借り入れです。

しかし、奨学金と教育ローンの両者には根本的に違う部分があります。

その違いは、借り入れの際の名義人です。

奨学金では、本人(学生)が名義となり、教育ローンは親が名義となります。

借り入れの名義人とは、返済義務を負う人の事を指します。

つまり、学生が奨学金制度を利用するということは、将来自分で返済しなければいけないということです。(そのため、奨学金の返済開始時期は卒業後からとなっています)

この奨学金についての話は、投資に限らず高校生へお金の話をする際には、是非付け加えていただきたい内容です。

2-2.高校生が自主的に投資を始める場合

二つ目の「高校生が自主的に投資を始める場合」ですが、これは親御さんであれば可能な限り応援してあげましょう。

また、高校生本人で、ご両親の説得に苦労している場合は、根気よくご両親に投資とは何か、どうして投資をしたいのかなど、具体的な説明をし、納得してもらえるまで粘りましょう。

やってみたい、という気持ちを持つことは、たとえ後で失敗したとしてもその中に学びが生まれます。

また、親子一緒に投資やお金について学ぶことも、生活を豊かにする上で良い効果がありおすすめです。

3.高校生は投資の三原則を守って株式投資をしよう!【少額・長期・積立】

高校生が投資を始める場合、必ず守っていただきたい3つのポイントがあります。

「少額」「長期」「積立」です。

これは、高校生だけでなく、投資の初心者が守るべき「投資の3原則」と言われています。

この3原則を徹底することで、リスクの分散になり、より資産を守りながら安全に投資をすることができます。

「少額」として、1回あたりの投資金額を少なくすることで、たとえ損失がでても最小限で済みます。

「長期」は、時間の分散が可能という側面があります。

特に株式投資や外貨運用に関しては、時間で価格が変動します。

したがって、長期投資を心がけることは、時間のリスクを分散させることができます。

「積立」は、一括投資はなるべく避け、少額ずつ、長期的に、コツコツ投資をすることをお勧めしています。

たとえば、高校生がお年玉の全額5万円を投資しようとした場合、国内株式100株を5万円で購入するのではなく、証券口座に5万円を入金しておき、毎月5000円ずつを10回に分けて「少額」で「長期的に」「積み立て」て購入することができます。

まずはこの「投資の3原則」を守りながら、興味のある投資商品に対して運用してみると良いでしょう。

4.高校生は株式投資の前に投資信託で投資を学ぼう!

投資の3原則を守りながら高校生が投資を始めるにあたって、始めから株式投資をするのではなく、まずは投資信託をやってみることをおすすめします。

投資信託とは、一般投資家から集めたお金を、運用のプロが国内外の債券や株式へ投資をし運用してくれる商品のことです。

投資信託商品は、投資金額のうち一定の割合を手数料として差し引きます。

投資を始めたばかりで、金融の知識が薄い間は投資信託を利用し、その手数料分はプロが運用してくれる手間賃と考えると良いでしょう。

少なくとも高校生の間は、投資に使うことができる資金も多くないでしょうから、まず初めに投資信託で資産運用を始めてみましょう。

その中で、自身のお金の動きや世の中の経済情勢について体感することで、次の資産運用の手法を考えていくことに繋がります。

5.高校生は株式投資がハイリスクであることを知ろう

投資信託の次にチャレンジしてみたいのは株式投資です。

株式投資では国内、海外と大きく二つに分けることができますが、高校生の投資では特に国内株式に限定してみましょう。

国内株式投資は、高校生のうちに経験しておくと、大学生を経て社会に出た時に経済の大きな流れがわかるようになります。 

なによりも「自分のお金で株式投資をする」という経験は、大きな収穫になります。

株式投資を始めると、株価について「なぜ上がるのか」「なぜ下がるのか」が気になってきます。
その「なぜ」は非常に大事です。

自分のお金で投資している株に対する値段がどうして変動するのか、その興味をもって調べることは、立派な「お金の勉強」になります。

自分の興味や経験から得られた答えは、人から教わるよりも強烈に印象に残ります。

疑問を持つこと、自分で調べて答えを導き出すこと、この繰り返しが効果的です。

株式投資でも、やはり「投資の3原則」を守るということは徹底していただきたいポイントです。

特に株価は、一日の中でも短い間隔で価格が変動します。

短期的な視点で価格変動を見ていると、上がったタイミングで売却したくなりますし、下がったら手放したくなります。

株価の変動に敏感になることは大切ですが、それだけを理由として短期的に売買を繰り返すのはかえって損をすることになります。

高校生の株式投資では、特に安定して長期保有することができる株の購入がお勧めです。

また、以前は株式投資と言えば100株単位(単元株)で購入する必要がありましたが
最近は「単元未満株」でも購入することができる金融機関が増えてきました。

LINE証券「いちかぶ」も、単元未満株を購入できる証券会社です。

1株あたり数百円から購入できるので、高校生でもお小遣いの範囲で少額からコツコツ買い増しすることが可能です。

買い増ししたのちに100株に到達すれば、先々では株主になることも可能です。 

6.2022年からスタート!高校家庭科の投資授業内容とは

2022年から、文部省が定める学習指導要綱の変更により、高校生は家庭科の授業でお金の勉強について学ぶことになりました。

さて、この高校生が学ぶことになる金融教育は、大きく分けて2つのジャンルがあります。

  • 経済計画
  • 金融商品、資産形成

この章では、具体的な授業の内容について解説します。

6-1.経済計画

一つ目の「経済計画」ですが、その名の通り、経済活動で得たお金を使って、ライフステージごとに、どう工夫して生活をしていくかについての内容です。

また、成人して給与所得者になった後の社会活動の中で、どのような社会保障制度を受けることができるのか等についても学びます。

一生涯ライフイベントの変化についてや、資金計画についても学びます。

簡単に言うと「人が生きていく上で、どのようなリスク(収入面・仕事面・健康面など)が考えられ、それらを予期してあらかじめ備えていく計画作りを学ぶ」ということです。

6-2.金融商品、資産形成

二つ目の「金融商品・資産形成」は、一つ目の「経済計画」よりも更に具体的に「投資」について学ぶ印象を受けます。 

銀行の預貯金や生命保険、資産形成商品(株式、債券、投資信託など)の各商品や制度について、具体的な特徴についても学ぶということです。

7.高校生が株式投資の口座を開設する手順【まずは親に相談しよう】

株式投資を始めとする投資商品は、証券口座を開設することからスタートです。

証券口座の開設は、親権者の同意が必要です。なるべくご両親が立ち会い一緒に行うか、ご両親が代理で開設の手続きをするなどした方が安心です。

証券口座を開設する流れは、おおまかに次のような流れです。ここでは、最近口座開設数が多く、手軽に口座開設ができるインターネットの証券会社での流れを紹介します。

  1. どこで口座を開設するか比較検討する
  2. 口座開設ホームページから申し込む
  3. 本人確認書類とマイナンバーを提出する
  4. 必要事項を入力しデータ送信
  5. 郵便またはメールで完了の通知が来たら口座開設完了

まず、どこの証券会社で口座を開設するか検討しましょう。

ご両親がすでに証券口座を保有している場合は、同じ証券会社で口座開設をするのが得策かもしれません。

同じ仕組みで投資を進めていくことができるので、子供へ教えやすいというメリットがあります。

この他にも、売買に関する手数料が無料または安いところを探して口座開設をしてみることをおすすめします。

証券口座の手数料に関しては、インターネット上に比較サイトも複数あります。

あらゆる手段で情報収集を行い、子供が長期的に安心して投資ができる環境作りをしていきましょう。

特に高校生は、平日は学校に通学していますので、対面での手続きが必要な証券会社は物理的に難しいかもしれません。

近年、証券口座開設数が伸びていて、手続きが簡単で人気なのはインターネットの証券会社です。

特に、オンラインでの手続きだけで口座開設が完結する証券会社は利便性が高いといえます。

口座開設の際には、マイナンバーのわかるものが必要となります。

高校生でもマイナンバーカードを発行している場合は、写真付き本人確認資料として使うこともできて便利です。

マイナンバーカードがない場合は、個人番号通知カードまたは住民票を発行し個人番号をあらかじめ準備しておくことが必要になります。

口座開設にかかる期間ですが、先に紹介した楽天証券のようにオンライン完結型なら当日に申し込みは完了します。

対面型や郵送で手続きをする証券会社では、1週間以上、最長で1か月近くかかることもあります。

8.まとめ:【高校生からの投資】始め方と勉強方法

この記事では、高校生が投資をするにあたって、何を注意すればいいのか、どのように投資をスタートすればいいのかについて解説しました。

  • 高校生で投資を始める場合「投資の3原則」は厳守すること。
  • 長期的に積立できる商品選びは、リスク分散という観点から安心して運用することを重視すること。
  • 運用資金は「少額」から始め、株式投資に関しては、あくまでもリスクの高い投資商品であるということを念頭に置いたうえで「勉強だと思って1株からはじめる」こと

今後、高校生が将来成人して自分の意志だけで何か資産運用を始める場合でも、この「投資の3原則」は自分を守るためのスキルになります。

上記のことを念頭に入れ、安定運用を心がけ投資にチャレンジしていきましょう。

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