「投資信託」ってほったらかしでいいの?損しないための定期的なメンテナンス方法とは

青木博史

1.はじめに

どうしてファンドの見直しは必要なの?
難しくないというから投資信託を始めてみたのに、見直ししなければいけないなんて、難しそう…。

と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、比較的ハードルの低い投資信託という商品であっても、金融機関に「丸投げ」はNG!
定期的に購入したファンドをチェックすることが大切です。

購入後はプロに運用を任せられる投資信託ですが、自分で確認すべきこともあります。
いつ、どんなことをチェックすべきか、投信を買った後のポイントをおさえておきましょう。

この記事では、保有中の投資信託を見直す頻度や見直すポイントを具体的に紹介します。

2.長期保有は「ほったらかし」だと勘違いしていませんか?

ここは断言します。
「投資信託は買ったら終わり&メンテなし」ではダメ!

資産運用は投資信託を買ってからが本当のスタートです。
「『運用』というけれど、実際に運用するのはファンドマネージャーなんだし・・・」と思っている方がいるかもしれません。 たしかに、いったん投信を購入したら、あとの運用はファンドマネージャーにゆだねるしかありません。
しかし、必ずしもこちらの計画通りに運用されるとはかぎらないのが投資信託というものです。

あなたが資産運用の目的を達成するまでの 長い道のりのあいだには、相場の潮目が変わったり、ファンドマネージャーが交代したりと、さまざまな変化がおこります。 そして、環境が変化してもあなたのポートフォリオが健全なパフォーマンスをあげ続けられるかどうかは、営業マンでもファンドマネージャーでもなく、 ほかでもないあなた自信の判断にかかっているといえます。

忙しくても、プロに運用を任せた投資信託への投資であっても、積み立て投資であっても、それは自分の大切な資産です。基本的には、自分が最終的に責任を持って管理する必要があります。

長期保有の基本は「良い商品」を長く持つことです。「良くない商品」を持ち続けても資産形成はできません。しかし、良い商品と良くない商品はパフォーマンスだけで決まるわけではありません。
それでは一体、何を基準に見直せばいいのでしょうか。投資信託の見直しポイント、見直す方法、頻度などのポイントを次に紹介します。

3.投資信託を見直す際のポイント3つ

3-1. 基準価額とそのチャート、純資産残高などの基本データ

株に株価があるように、投資信託には「基準価額」があります。基準価額は毎日公表されており、証券会社など保有している投資信託を販売した金融機関、もしくはその投資信託を運用している運用会社、投資信託専門の会社のサイトなどで簡単にチェックできます。

株のチャートと同様に、基準価額のチャートもみることができます。投資信託の長期投資では下がっているときに買いつづけることが大切なので一喜一憂する必要はありませんが、自分の保有する投資信託の長期トレンドは把握しておきましょう。

基準価額にも様々なデータがありますが、「純資産残高」も大切な指標で、その投資信託の運用資金の総額を表しています。純資産残高は「大きいから良い」「小さいから悪い」というわけではありませんが、小さすぎると運用効率が悪化し運用パフォーマンスに支障をきたすことがあります。商品によっては、純資産額が一定額を下回ると、強制的に運用を終了する(繰上償還)ケースもあります。目論見書で繰上償還の金額ラインを確認しましょう。

3-2. 運用実績

基準価額だけを見て一喜一憂しても意味がありません。大切なのはある程度の期間での運用実績です。基準価額の推移、設定以来のトータルリターンのほか、1年、3年、5年、10年など、期間毎のリターンや同カテゴリーの投資信託の中での順位なども確認できます。配当実績や配当の傾向、信託報酬などのコストも確認しましょう。

特にどれくらいのリスクをとって、どれくらいのリターンを出しているかを示す「シャープレシオ」は運用実績の評価にも使われる指標です。数値が大きいほうが効率よく運用できていることを示します。

3-3. 運用方針

運用実績も大事ですが、保有している投資信託の運用方針と自分の運用方針が一致しているかという視点からの見直しもおすすめです。「運用レポート」を見ることで、運用会社やファンドマネージャーが、どのような方針で運用しており、相場をどのように見ていて、どのような銘柄へ投資しているのかなどの概要がつかめます。

近年では「SDGs(持続可能な開発目標)」という観念が世界的に拡がり始めており、パフォーマンスだけでなく、ファンドのSDGsに対する姿勢なども資金が流入する重要なファクターになってくる可能性があります。

4.自分が保有している「似たタイプ」の投資信託との比較をしよう

上記の3つのポイントは、他の投資信託と比較することも大切です。投資信託には、「日本株中小型」「外国株北米」などの複数のカテゴリーがあります。自分が保有する商品と同じカテゴリー、似たようなタイプの投資信託とパフォーマンスや保有銘柄を比較することで組入れ銘柄や運用の巧拙でパフォーマンスが見えてきます。パフォーマンス、純資産残高、ファンドマネージャーのコメント等を参考にしましょう。

5.見直し頻度はどれくらいが良いのか?

可能であれば運用レポートが発行される月に1回の頻度でチェックすることを習慣づけましょう。

それが難しい場合は四半期に1回〜年に1回程度でも十分です。

投資信託自体のチェックに加え、自身の投資方針やリスク分散比率(リスク資産と現金比率等)に基づいた商品かどうかも合わせてチェックしましょう。

最初は大変に思うかもしれませんが、完璧にする必要はありません。
月に一回、どんな感じかな〜とチェックするところから、徐々にチェック項目を整理していくと良いでしょう。

6.どんな資産配分になっているか把握することも重要!

投資信託と一口に言っても、投資対象はさまざまです。日本株式、外国株式、国内債券、外国債券、REITなど主な投資先によって、○○型の投資信託と分類され、それらを複数持つことで分散投資ができます。国内株式型の投資信託を一つ持っているだけでも、分散投資はできていますが、国内株式全体が下がってしまったら終わりです。そこでもっとマクロな視点を持って、資産配分をすることをアセットアロケーションと言います。これを投資信託で行う場合、異なる投資対象の商品を組み合わせたポートフォリオを作ることで可能です。

まずは、持っている投資信託の投資対象をチェックし、資産配分の比率を出してみましょう。

そして、定期的かつ必要に応じた「リバランス」も投資信託を続ける上で大事なメンテナンスになります。

7.リバランスってなに?

長期運用の場合、計画どおりにいかない場合も多く、分散投資を考えて資産配分をしてもバランスが崩れることがあります。
そんな場合の対処法がリバランスです。

資産配分を決めたとしても、株式投資信託や公社債投資信託は日々値動きをしており、次第にバランスが崩れてくる…。

そうした時に、もとの比率に戻すことをリバランスとよびます。

たとえば、株式が他の資産に比べて値上がりすると、株式の比率が高くなります。上がっているので良いように思いますが、株式の比率が高くなるということはそれだけリスクが高くなります。次に株式が値下がりした時にダメージが大きくなるのです。リスクを管理することで当初の運用目的が果たせます。そのためにもリバランスが必要なのです。

6.まとめ|自分の資産は自分で守る意識を持ちましょう!

投資信託はただ持ち続けるだけでは意味がありません。

自分の資産に責任を持てるのは自分だけです。相場の潮目が変わったり、投資信託のファンドマネージャーが替わったり、投資信託の運用でも様々な変化がおこります。新型コロナで生活様式が変わることは誰にも予想すら出来ないことでした。そうした変化があったときは、投資も見直してみるべきなのです。変化に対応して、将来の資金を築くのは、ファンドマネージャーでも運用会社でもありません。

自分自身で、年に1回でも良いので資産のメンテナンスをし、自分の資産は自分で守る意識を高めていきましょう。

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