投資信託って安全なの?運用会社が破綻したらどうなる?の疑問に答えます。

青木博史

1.はじめに

老後資金を資産運用で貯める方法の1つに「投資信託」があります。資産運用の基本は長期投資ですので、この方法でお金を増やすには長い期間かかります。しかし、何十年とかけて貯めていくなかで、商品を購入した金融機関が破綻した場合、保有している投資信託はどうなるの? と不安に思う方もいるでしょう。この記事では、そのような疑問についてお答えしたいと思います。

2.投資信託なら、たった1000円で世界中の金融商品に投資可能

投資や資産運用という言葉を聞くと、多くの投資初心者や投資をしたことのない人たちは、「投資はお金持ちのすること」と思って、他人事として考えがちです。しかし、そうではないのです。
投資信託なら、たった1000円でも、世界中の金融商品に投資が可能です。

2-1.老後の資金を貯めるには?

「長期・分散・積立」投資にはインデックス・ファンド、つまり投資信託で運用すればいいと一般的に言われます。特に投資初心者がはじめて資産運用をしようとした場合、一番安全で簡単に始められるのがこの投資信託なので、そのような説明をよく見かけるのではないでしょうか?

そこで、そもそも投資信託とはどういうものなのかについて、まずはその仕組みについてここで簡単に説明します。

投資信託とは、不特定多数の個人投資家から集めたお金を、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロがまとめて運用し、その収益を投資家に還元する商品のことを言います。

投資知識がなくても、株式や債券、不動産など、さまざまな資産や海外へ幅広い投資ができ、分散投資によるリスク軽減も同時に実現できるのが最大のメリットです。

ですから、外国株式インデックスを1つ買えば、いろいろな国、いろいろな企業の株式を買えることになります。

厳密に言うと外国株式インデックスのようなインデックス・ファンドは、ファンドマネージャーが運用するというよりは、実際のところはコンピューターが人間に代わって運用してくれます。たとえば、1億円の日本株式インデックス・ファンドの買い注文が入った場合、どの銘柄を何株買うかという意思決定はコンピューターが瞬時に計算を行い、買い付けを実行します。

人手がかからず、コンピューターが手配するので、手数料も安いんです。そこが投資信託の魅力のひとつです。

ここで整理すると、投資信託のメリットとは以下の点と言えます。

  • 少ない資金でも始められるということ
  • 複数の企業の株を買えるので、いちいち自分で選ぶ手間がかからないところ

また、1000円で、世界中の株式、債券、不動産市場に投資できてしまう投資信託まであります。
投資信託は少額からでも始められ、しかも初心者であっても活用しやすい点が人気の秘密と言えます。

ほかにも、もし運用会社や証券会社が倒産しても、投資信託の場合、お客さんの資産がその時の時価(運用成績)で満額保全されるというメリットもあるので、さらに安心・安全なんです!

2-2.金融機関が倒産しても、資産は守られる?

結論から言うと、金融機関が倒産したとしても、資産は守られます。

その前に投資信託のお金の流れから説明しましょう。

【金融機関が破綻しても預けていた資産が守られる仕組み】

投資信託には3つの金融機関が関わっています。1つが、私たちが投資信託を購入する窓口である「販売会社」。証券会社や銀行、ゆうちょ銀行などがそれに当たります。販売会社に支払われたお金は、2つめの「管理会社」に預けられます。信託銀行がその役目を果たしています。そして、3つめが、実際の運用の指示を出す「運用会社」です。

このように、投資信託にはたくさんの金融機関が関わっています。

仮に私たちのお金が「運用会社」にあって運用会社が倒産した場合、それこそ本当に投資金額も破綻してしまう可能性があります。しかし、資金の管理は「信託銀行」が請け負っているので、運用会社が倒産しても大丈夫なんです。つまり、たくさんの金融機関が関わっているからこそ投資信託に投じた資金の安全は保たれるわけです。

2-3.「信託銀行」が破綻したら・・・

「信託銀行」には信託法という法律が適用されます。簡単に説明すると、信託銀行のお金と投資家の投資信託のお金は別の勘定で管理がなされているということ(分別管理義務)、もう一つは、投資信託のお金(信託財産)については、仮に信託銀行が破たんしても債権者が信託財産を強制執行(差し押さえ)することができないということです(信託財産の強制執行の禁止)。

3.まとめ|3つの金融機関のどこが倒産しても、私たちの資産は守られる?

結論から言うと、私たちの資産は金融機関が破綻しても守られます。

ですから、投資家が気にかけるべきは、金融機関の破綻ではありません。
投資信託は毎日その価格が公表されています。
投資家はその価格が現在いくらになっているかだけを気にかければいいのです。

例えば、投資信託の価格が1万円の時に100万円投資した場合、その投資先の株式市場が値上がりすれば1万円が1万2000円、1万3000円と上昇していきます。逆に投資先の市場が下落すると9000円、8000円と値下がりしていきます。

そこで、仮に1万2000円の時に運用会社、信託銀行、購入した証券会社のすべてが倒産しても120万円は戻ってくるので、金融機関が破綻したことによっての損害は考える必要はありません。

もちろん、投資信託の価格が8000円の時にすべての関係会社が破たんすると、投資家に戻ってくるお金は100万円ではなく80万円になります。つまり、投資信託は預金のように元本保証はされなくて、その時の投資信託の価格(時価)で満額保証されるのです。

投資信託の価格が0円になるということは、投資した企業がすべて倒産することを意味します。外国株式インデックスであれば、先進国の上場企業がすべて倒産することで、現実味がない話です。

3つの金融機関がたとえ倒産したとしても、投資した資金がゼロになるわけではありません。
そういう意味でも、投資信託はもちろんリスクはありますが、安全だと言えます。

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