1.はじめに|不動産投資とは
不動産投資とは、「不動産を購入する」という投資方法です。
購入した不動産を使いたい人に貸すことで、毎月安定した利益を得る。
そのような投資ですから、投資の中でも難易度の高い投資の種類です。
誰でも簡単に稼げる方法ではありません。
投資全般にリスクはつきものですが、ペーパーアセットと比較すると
投資用不動産の購入および運用には、それなりの高いリスクが伴います。
不動産投資で堅実な利益を得るためには、予備知識を十分頭に入れること。
つまり“不動産投資についてしっかり勉強しておくこと”が重要です。
今回は、今から不動産投資の勉強を始める方に向けて、
“不動産投資のメリットとデメリット”について解説します。
不動産投資は初期費用がかかる投資ですから、株式投資などと違い安易な気持ちで行うこと自体がそもそも難しいと思います。
大切な資金を無駄に減らさないためにも、じっくりと不動産投資の勉強をしてからはじめていきましょう。
2.不動産投資のメリット
不動産投資のメリットは主に6つあります。
- 入居者がいれば毎月の定収入が確保できる
- 不動産投資ローンによるレバレッジ効果がある
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法
- 不動産投資は節税効果が期待できる
- 生命保険の代わりとしても活用できる
- 不動産は現物資産なのでインフレリスクにも強い
では、上記についてひとつひとつ解説します。
2-1.入居者がいれば毎月の定収入が確保できる
不動産投資の一番のメリットは、安定した入居がつくようになれば毎月の収入源を確保することができる点です。部屋数が6軒あり、一部屋6万円で貸す場合、6軒全てが入居状態であれば、毎月の収入は単純計算して36万円マイナス維持費になります。入居率が高ければ高いほど、毎月の収入は安定します。不動産を保有しているだけで毎月決まった収入が見込めるのは、不動産投資の魅力です。
2-2.不動産投資ローンによるレバレッジ効果がある
不動産投資はローンが組めるという点でも魅力的です。しっかりとした計画や情報収集をした上で、これと思える良い物件を見つけることができたなら、数十万円~数百万円の頭金さえ用意できれば、あとは毎月の家賃でローンや税金を支払っていくという方法で不動産を手に入れることが可能です。好物件であることが何よりも重要ですが、自己資金をおさえて投資を実行できるため、100万円の資金で3000万円の物件を買うというようなレバレッジ効果(てこの効果)を期待できます。投資ローン融資の審査が通りやすいサラリーマンの方にとっては、自身の属性を最大限に活かした投資手法と言えるでしょう。
2-3.ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法
不動産投資は、比較的少ない自己資金で毎月の家賃というリターンを確保できる一方で、他の投資と比べてその不動産自体の価格変動がゆるやかであることも魅力です。
リアルアセット(現物資産)なので価値がゼロになる心配も極めて少ないというメリットがあります。
不動産投資と比較するとそこまでの資金は必要のない株やFXなどはやり方を間違えると一瞬にして資産価値がゼロ円やマイナスになってしまいます。
そのようなペーパーアセットによる資産運用と比べると、ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法といえるでしょう。
2-4.不動産投資は節税効果が期待できる
不動産投資には節税効果もあります。不動産購入後1年~2年は諸費用が発生するため、所得税の控除が受けられるケースが多く、高所得者にとっては大きなメリットとなります。また、新築アパート投資においては、物件の金額が大きく建物の減価償却スピードが22年とマンションの減価償却期間47年に比べて早いため、毎年数百万円単位の費用を発生させることができます。
所得税だけでなく、不動産購入には相続税の負担を軽減することができるというメリットもあります。平成27年に相続税改正があり、相続税の課税対象者比率が平成26年以前の倍近くまで増加することとなりました。それに伴って、相続税対策としての不動産投資のメリットが改めて見直されています。
2-5.生命保険の代わりとしても活用できる
不動産投資で一番の問題はローンを無事に完済できるかという点です。不動産投資を始めたあと、不慮の事故や予期せぬ事態が起こった際にも、できるだけ家族には負担や迷惑がかからないようにしたいのは当然です。
こういったローン返済におけるリスクに備えて、団体信用生命保険というものに加入をすれば、返済期間中に本人が亡くなってしまった時や重病になってしまった際にローンの債務免除が受けられるため、家族に不動産資産と毎月の家賃収入を残すことができるようになります。
また、最近は団体信用生命保険もより良いサービスが充実してきているので、3大疾病やがんになった時も保障を受けることができるようになってきています。
ですから、生命保険の代わりとして不動産を活用することを検討している人も増えてきているのが現状です。
2-6.不動産は現物資産なのでインフレリスクにも強い
インフレの時は現金の価値が目減りしてしまいますので、預貯金で持っていると毎年価値がインフレ率分だけ下がることになります。
しかし、不動産投資を行っている場合、物件価格や賃料はインフレに連動しているので、インフレの下でも資産価値を損なうことなくインフレリスクから資産を守ることができるというメリットがあります。
3.不動産投資のデメリット
ここまでは不動産投資のメリットについて見てきました。以下では、不動産投資のデメリットやリスクについても詳しく見ていきましょう。
- 不動産投資には空室リスクがある
- 割高な物件を購入してしまうリスクがある
- 不動産資産は流動性が低い
- 不動産の売買時に手続きの手間がかかる
- 天災や事故などのリスクがある
- デフレリスクや金利上昇リスクがある
3-1.不動産投資には空室リスクがある
不動産投資で最初に思い浮かぶデメリットは、空室リスクが発生するという点でしょう。
空室が発生すると当初想定していた利回りが低下していくことになりますので、できるだけ空室期間を発生させないことが不動産投資の鉄則となります。
このデメリットを回避するには、大きく分けると「空室が発生しにくい条件の良い物件を選ぶ」「競合物件に対する魅力を引き上げる」「サブリースを利用する」の3つとなります。
ただ、サブリース契約は免責事項でリスクもありますので、契約を締結する前に契約の内容をしっかりと精査するようにしましょう。
3-2.割高な物件を購入してしまうリスクがある
不動産は常に値動きをしていますので、割高な時期に購入してしまうと安くなった時に「安くなるまで待てばよかった」と後悔してしまうということもおこりがちです。
このデメリットの回避策としては、今後に人気が見込まれるエリアや物件を購入することです。
人口が減少するエリアや経済が停滞・衰退していくエリアでは、
周辺に物件を借りるニーズが少なくなっていきますので、物件価格も引き下がっていくことが予想されます。
一方、都心や再開発予定地など今後の成長が見込まれるエリアや経済活動が活発なエリアでは、
家賃の据え置きや引き上げを行ったとしても入居者が確保できるケースもあるため、その場合は物件価格の上昇も期待できることとなります。
割高な物件を購入しないためにも、現地のリサーチは欠かせません。
3-3.不動産資産は流動性が低い
不動産は、他の投資商品などと比べると商品の流動性が低いため、売りたい時にすぐに換金化できないというデメリットがあります。
ただ、流通量は年々増えており、中古マンションであれば首都圏で毎年4万件弱の物件売買が成約しています。
物件の売り出し価格が相場に対して適切に値付けされていれば、最速で1ヶ月後に入金まで完了することができます。
流動性の低さが気になる方は、都心のマンション購入を検討すると良いでしょう。
3-4.不動産の売買時に手続きの手間がかかる
不動産投資は、他の投資商品と比べると手続きに手間がかかります。
まず不動産売買の契約を結び、不動産投資の融資審査と融資契約締結を行い、購入後は抵当権設定や移転登記、毎年の確定申告などを行う必要があるといった流れで、数多くの契約事務や行政手続きなどが発生してしまいます。
ただ、手間がかかるといっても、大抵の手続きは仲介会社や司法書士・税理士の方が進めてくれますので、購入後数年も経ってくると手間も少なくなります。
不動産投資は、株式投資のように口座開設後はすぐに買ってすぐに売ることができるというような流動性はないという認識は持った上で始めましょう。
3-5.天災や事故などのリスクがある
不動産のデメリットとして、地震や台風などの天災で物件に被害が出る可能性があるということです。
この回避策としては、火災保険や地震保険などに加入をしておくことですが、
あまり保険を充実させてしまうとランニングコストがふくらんでしまいますので、
物件があるエリアの過去の災害状況などを加味してどこまでを保障するかを決めると良いでしょう。
3-6.デフレリスクや金利上昇リスクがある
不動産投資のメリットとしてインフレに強いということがあげられますが、
逆にデフレ局面では不動産をもっておくと価値が下がってしまうというリスクがあります。
また、現在は歴史的な低金利が続いていますので、
今後はどこかのタイミングで金利が上昇するという局面も考えられます。
ローンを検討している方や組んでいる方の多くが変動金利を適用していると思いますので、
金利上昇により返済金額が大きくなってしまうことが考えられます。
このリスクに備えるためには、毎月の返済に対して現金に余裕を持たせておくということになります。
金利上昇などのリスクに備えてある程度は手元に現金を残しておくような対策も必要です。
もちろん金融機関も、金利上昇などのタイミングで返済に関する相談に乗ってくれると思いますが、
ローンというのは信用で成り立つものです。
きちんと必ず返済をしてくれる人が好まれます。
不動産投資を長く続けていきたいのであれば、金融機関との付き合いは非常に重要となりますので、
どんな局面でも必ず返済できるように現金の余裕を持っておくことが大切です。
4.不動産投資をこれからはじめる人向けにメリット・デメリットを徹底解説のまとめ
不動産投資は魅力的な投資ですが、とても難易度が高く、
しっかり勉強してから始める必要があります。
今回の記事を最後におさらいします。
不動産投資のメリットは主に6つあります。
- 入居者がいれば毎月の定収入が確保できる
- 不動産投資ローンによるレバレッジ効果がある
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法
- 不動産投資は節税効果が期待できる
- 生命保険の代わりとしても活用できる
- 不動産は現物資産なのでインフレリスクにも強い
それに対してデメリットは以下になります。
- 不動産投資には空室リスクがある
- 割高な物件を購入してしまうリスクがある
- 不動産資産は流動性が低い
- 不動産の売買時に手続きの手間がかかる
- 天災や事故などのリスクがある
- デフレリスクや金利上昇リスクがある
まずはメリットとデメリットをしっかり把握することが大切です。
また、現物投資としての不動産投資の他にも、金融商品では「不動産リート」という商品があります。
不動産投資についてじっくり勉強しながら、まずは不動産リートで投資の実践をしてみることもおすすめです。