株式投資の勉強、意味ないやり方してませんか?意味ある勉強について徹底解説

青木博史

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1.はじめに

株式投資を行う一番の目的は、いうまでもなく資産を増やすことです。

個人投資家であれば「10倍株や100倍株を見つけ、億超えの資産を作りたい」と誰もが夢見るでしょう。
そして、その夢を実現するために何をしたらいいのか、どの株を買えばいいのかについて、必死になって考えます。

こうした目標を掲げそれに向かって努力することは良いことですが、「むやみやたら」に「がむしゃら」に勉強をしても必ず成果が出るわけではありません。

株式投資で成功をつかむためには無意味な勉強をやめ、正しく経験を積むことが大切です。

この記事では、株式投資の勉強について、「意味のある勉強と意味のない勉強の違い」をテーマに解説していきます。

これから株式投資を始めたいと検討中であるのなら、ぜひ、意味のある勉強をするためにもこの記事を参考にしてください。

2.株式投資は勉強をしても意味がないのか?

株で利益を上げることは簡単ではなく、勉強したからといって安定的に設けを出せるようになるとは限りません。

だからと言って、勉強不足のまま株式投資を始めることは自殺行為と言っても過言ではないくらい、株式投資には勉強が必要不可欠です。

そして、投資初心者はもちろん、ベテランの投資家であっても、常に学び続けることは不可欠です。

ただ、初心者にとっては、株式投資は学習範囲が非常に広いため、なにから手をつけるべきかが悩んでしまうのは、当然のことと言えます。

2-1.勉強は必要だが、間違った勉強法では意味がない

株式投資は、一足飛びに上級者レベルに達することはありません。

初心者には初心者向けの勉強、上級者には上級者向けの勉強が必要です。

株式投資を始めたばかりの人が上級者向けの勉強をしても、基礎がないために必要な知識は身につきません。

わからない言葉ばかりで先に進めないときは立ち止まるのではなく、そのわからない言葉を知るための勉強に切り替えましょう。

自分の実力を過信せずに把握することで、分からないことが1つひとつ解決でき、そのうちに知識が増えていきます。

せっかくの勉強を無意味にしないためには、自分の習熟度を正しく把握することが重要です。

2-2.自分で答えを見つけるために勉強をする

学習方法として一般的なのは、投資本から知識を得ることです。

投資について書かれた書籍は、未経験者の興味をひくための「きっかけ本」、初心者に向けた「入門書」、具体的な投資理論や戦略を解説する「指南書」、投資家の体験を紹介する「体験記」など、さまざまなジャンルに分類され存在しています。

しかし、書かれていることがすべてではありません。

あくまでも参考資料とし、自分のなかで答えをみつけることが大切です。

2-3.「元本10万円から億万長者になった!」といった成功体験記は生存者バイアスに注意

投資家の体験を紹介する「体験記」を読むうえで、最も気をつけなくてはいけないことは「生存者バイアス」です。

生存者バイアスとは、少数の成功者のみに注目し、同じ道を選んで失敗した大多数のデータの存在を知ろうともせず、検証すら行わないことです。

成功者1名の裏で、数百人、数万人の失敗者がいるかもしれません。
あなたが、成功者と同じことをしたとしても、同じように成功できるとは限りません。

体験記で参考になる部分は、投資方法や銘柄の選び方、投資判断基準、投資に対する姿勢などです。

こういった方法もあるという情報として仕入れておくことで、自分の判断材料を増やすことができます。

2-4.「絶対!間違いない!」「これをしないと危ない!」と書いてあったら避けるほうが安全

どのジャンルでも散見されますが、派手な煽り文句や刺激的な表現を使う書籍は避けたほうが良いでしょう。

また、簡単に儲かるといった甘い話が書籍の帯などに書かれているようなものも、それを鵜呑みにしないようにしましょう。

こういった書籍を読んで得られるものは、知識ではなく「夢」です。

「儲かる!」という夢を見ることはできますが、夢を現実にする方法は知ることができません。

なかには、必要以上に不安を煽ってから「夢」を与えるものもあります。

そのような人の気持ちを惹く言葉だけの本をいくら読んでも、夢を叶える方法を得ない限り、夢は永遠に夢のままです。
読むだけ時間の無駄になりますので、こうした本は避けた方が賢明です。

2-5.多くの人が支持をする「ベストセラー」「ロングセラー」は良書が多い傾向にある

発売したばかりの書籍が人目に触れやすく、売り上げがよいのはある意味で当然のことです。

一時的に多くの人の興味を惹き、多くの人が手に取りますが、そのうちに多くの目で精査されることによって、次第に淘汰されていきます。

一方で発売から数年経過してもなお上位にランクインする書籍は、時代を超えて支持されるだけの価値があると考えられます。鮮度が重要な情報もありますが、長年読み継がれる普遍的な指南もまた、身につけるべき知識の1つといえるでしょう。

2-6.インプットとアウトプットのバランスを意識することが大切

知識、情報を知ることがインプット。
その知識、情報を活用し実践することがアウトプットです。

勉強をするというのは、このインプットとアウトプットのバランスを意識することが大切です。

特に日本人にありがちなのは、インプットだけが勉強だと勘違いしていること。

どの分野でも同様ですが、勉強している実感が得られるのは、インプットをしているときです。

しかし、インプットばかりで知識を貯め込んでいてもアウトプットしたことがなければ、その知識や情報の活用の仕方までは学ぶことができないので、勉強してもなんの役にも立ちません。

知識や情報を活用する方法まで習得する。
つまり、実践をする(アウトプット)ことで、はじめてその勉強が実を結びます。

ただし、投資の勉強は時間がかかるのも事実です。

インプットは上手くできている気になっていても、実際に行動に移してみたら勉強したとおりにいかないことも多々あります。

覚えたつもりが忘れてしまうこともあるでしょう。

しかし、それは自分を卑下するような失敗材料ではなくて、課題が見つかったという成果にほかなりません。

インプットだけでなく、同時にアウトプットを行って習熟度を確認することが、効果的な学習のコツと言えます。

3.株式投資 入門編「投資の勉強をはじめる前の基礎固め」

インプットとアウトプットのバランスを考えて勉強を進めていために、まずは基礎を固めることが必要です。

この先、多くの情報をインプットする土台を作るということを意識して、勉強をはじめましょう。

3-1.お金の基礎知識、マネーリテラシーを身につける

まずは、お金の知識とそれをうまく活用する能力(マネーリテラシー・金融リテラシー)について、自分の理解度を確認します。金融庁では、最低限身につけるべき金融リテラシーとして、次の4つを挙げています。

・家計管理:適切な収支管理 など
・生活設計:ライフプランを踏まえた資金計画 など
・金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択:保険やローン、投資などの金融商品についての理解やリスク管理 など
・外部の知見の適切な活用:適切な相談機関について など

日常生活のなかでで自然と身につくものから、意識的な勉強が必要なものまで多岐にわたっています。

【参考】金融庁 最低限身に付けるべき金融リテラシー(PDF)

3-2.専門用語を読み飛ばさないための辞書を用意する

投資や金融についての勉強を進めていくと、耳慣れない専門用語がたくさん出てきます。

正しい意味を理解するために、専門用語の辞書を用意しましょう。
紙の媒体は苦手な方は、ネット検索で毎回分からない単語を調べ、メモアプリなどにコピペをし、備忘録を作るなど工夫すると良いでしょう。

具体的には、単語をダイレクトに検索でき、図解や具体例を交えた丁寧な解説が得られる金融企業の公式サイトがおすすめです。

スマホで閲覧できるため、いちいち別の書物を開く手間がなく、勉強を中断せずに調べられる点も優秀です。

3-3.さまざまな投資スタイルを知り、選択肢を増やす

一口に株式投資といっても、さまざまな投資スタイルがあります。

それぞれに特徴があり、どれが正解というものはありません。

自分の目指すゴールや好みに合った投資スタイルを選ぶことが重要です。

自分に合っているものを選ぶためには、どのような投資スタイルがあるのかを知っておく必要があります。

それと同時に、自分自身がなぜ投資をするのか、保有期間はどのくらいなのか、攻めるのか守るのか、どのくらいの利益を狙うのか、など。目的や自分にとってのゴールを明確にさせていくことも大切です。

次第に絞り込んでいけるように、まずは選択肢を増やしましょう。

4.株式投資 初級編「インプット&アウトプットを積み重ね、知識を増やす」

基礎固めを終え、投資方法の学習(インプット)や流れの確認を済ませたら、次にすべきことはアウトプットです。

実際の取引に移りましょう。

それまでに、証券会社の口座開設や入金を済ませておきましょう。
口座開設から取引まで、インターネット上で完結するネット証券が気軽にアクセスできて便利です。

4-1.インプットした知識を、実践で活かす

これまでに学習した知識のなかから、自分で銘柄や投資方法を選んでみましょう。

一般的に安全だといわれている方法、教科書として選んだ書籍通りの方法、自分が興味のある方法…。
どのような方法であってもかまいません。

自分が思うように、自由に選びましょう。

ただし、このときの投資資金は「勉強費用」として割り切れる程度の金額にしておくことです。

ここで重要なことは、次の2点です。

・「噂通り」「教科書通り」の動きはしないということを学ぶ

株価は生き物です。過去のなにかと条件が似ていても、全く同じ動きをするとは限りません。

学んだことをうまく再現できなかったと感じる場面も出てくるでしょう。

しかし、そういうものだと知ることも今後の投資活動において貴重な経験となります。

また、自分自身の観察も重要です。

取引をはじめる前には、売却についてのルールを決めておくことが鉄則です。

しかし、いざ始めると欲や未練が出てしまい、ルールを守れなかったというのはよく聞く話です

。自分の精神状態がどのように変わるのかを知ることも、大切な勉強です。

・実際の株式投資で感じた悩みや疑問を、しっかり記録する

一連の取引を終えて疑問に思った点、どうするべきか悩んだ点が今回の成果です。

学習し直してしっかりと理解を深めることで、次のステージへと進めるのです。

必ず取引をしたら、その都度振り返りの時間を作り、未来の自分のためにデータとして記録しましょう。

4-2.投資の本質が記された名著に挑戦する

ロングセラーのなかには、著名な投資家が記した書籍が多く存在します。

長年、投資の世界で戦ってきた投資家たちの言葉には、実践者ならではの説得力があるものです。

たとえば『バフェットの財務諸表を読む力(メアリー・バフェット、デビッド・クラーク著/徳間書店)』では、財務諸表の解説とともに、投資をするうえで守るべきルールが紹介されています。『賢明なる投資家(ベンジャミン・グレアム著/パンローリング)』では、投資スタイルごとに異なるアドバイスが丁寧に述べられています。

どちらも刺激的な煽りは一切なく、本質を淡々と述べる穏やかな良著です。

初心者のうちはよく分からなかった内容が、投資を経験したあとならばリアルに感じられることも多いはずです。

分からないから読まないのではなく、投資経験を積みながら、名著にある内容を実践で活用することも大事な勉強になります。

5.株式投資 中級編「効率よく実践を行うための情報を集める」

初級編では、投資知識のインプットを目的とした勉強を中心に行ってきました。
次のステップでは、アウトプット(実践)のための情報を仕入れ、投資戦略を考えるということについて学びます。

5-1.実践に向けた情報収集

株式投資では、常に判断することを求められます。

どの銘柄を選ぶのか、いつ買うのか、いつ売るのか、すべての投資判断に欠かせないものが「情報」です。

まずは日常生活のなかで、気になる新商品やサービスなどにアンテナを張りめぐらせましょう。

投資のヒントは、身の回りのいたるところからみつかります。

日本経済新聞や経済誌、テレビの経済番組などメディアにも注目しておくと良いでしょう。

しかし、インターネットで表示される個人発信の情報は、真偽がわからないため、鵜呑みにしないように気をつけましょう。

・情報収集法1:会社四季報を読み込む

会社四季報は、年4回発行されている情報誌で、日本の上場企業の概要・財務情報・株価の推移などが掲載されています。発行元である、東洋経済新報社独自の業績予想は、投資家のなかでも参考にしているという人が多い必読ポイントです。

ネット証券のなかには、口座開設者に向けて会社四季報の内容を提供しているところもあります。気になる商品やサービスに出会えたら、すぐに会社四季報で会社概要や業績を確認するクセをつけましょう。

・情報収集法2:決算説明資料や決算短信から会社を読み解く

会社四季報を見て興味が深まった会社は、公式サイトも確認しましょう。

「決算短信」「事業報告書」などの財務情報、「経営方針・戦略」「経営計画」など会社の方向性についての資料がまとめられたIRページは情報の宝庫です。掲載データだけでなく、情報の見やすさ探しやすさ、サイトの雰囲気や更新頻度など、その会社がIR活動をどのように考えているかを知ることもできます。

また、情報の更新によって株価がどう動くかを観察することで、集めるべき情報と、重要視しなくてもいい情報を見極める力もついてきます。

5-2.株価動向は定期的に確認すべき

株式投資の基本は、売買差益を得ることです。

銘柄候補はリスト化して、株価の動きをチェックしましょう。

中長期的に保有し、値上がり益や配当金を期待する投資スタイルでない場合は、
毎日や週に一度など、新聞やネットで定期的に株価をチェックするようにしましょう。

その際に注目する点は、「出来高」と「上昇率・下落率」です。

出来高は、売買が成立した株数を示しています。

それに対して「上昇率・下落率」は株価の動きを示しています。

株価が上昇すると企業価値が高まり、資金や人材を集めやすくなり、経営が安定するということが想像できます。
下落は、その逆のことを指しています。

・上昇した株式の特徴を分析し、テンバガーの可能性を探る

上昇率の高い株式の特徴を、自分なりに分析することも実践に向けた勉強の1つです。

証券会社が提供するチャート分析ツールでは、さまざまなテクニカル分析を行えます。
投資方法と同様に、多くの分析方法のなかから自分に合った方法を探すために、まずはいくつか試して選択肢を増やしましょう。

テンバガー(10倍株)を狙うためには、過去にテンバガーを達成した銘柄情報や、近年テンバガー候補といわれている銘柄情報は必見です。自分なりの気づきを得るまで、徹底的に検証しましょう。

5-3.メンタルについて書かれた本を読み、自分をコントロールする方法を学ぶ

投資の実践をくり返していると、

「もっと儲けたい」「損をしたくない」という欲に惑わされて、予定外の行動をしてしまうことがあります。

また、期待どおりの成果が得られずに、落ち込むこともあるでしょう。

悩んで迷って自信を失いそうなときは、投資家の心得について書かれた書籍を読むタイミングかもしれません。

投資家として経験を積み、また1つ壁を乗り越えようとしているタイミングだからこそ、投資の心得や思考についての書籍は今後の投資活動のヒントになることが多々あります。

ある程度の経験を積み、なかなか上手くいかないというジレンマに陥った時は、ぜひ投資の本の中でも、メンタルについて書かれている名著を手に取ってみてください。

6.まとめ|株式投資の勉強、意味ないやり方してませんか?意味ある勉強について徹底解説

投資で成功するために必要なのは、正しい経験を積むことです。

なんの知識もない状態で一発当てようというような投資のやり方ではギャンブルと同じです。

また、本で読んだ手法を理解せずになぞっていても長くは続きません。

先人が苦労して得た手法を学び続ける姿勢は投資をする上では不可欠であり、勉強に意味がないということは決してありません。

まず、基本的なマネーリテラシーを身につけ、基礎知識を学んでおくことが重要です。

それから、インプットとアウトプットを意識して、知識・情報の収集蓄積と実践を行いましょう。

うまくいかなくても検証をくり返し、失敗を糧にしたその先に成果がついてくるのです。
諦めずに、淡々と投資と向き合うことが、株式投資で成功する秘訣と言えます。

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