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1.はじめに|40代からできる「おひとりさまの老後準備」どう備えるべき?
独身率の高さ、晩婚化や熟年離婚など、この時代は一昔前に比べて圧倒的に「おひとりさま」な生き方が当たり前になってきています。
とは言え、そういった「おひとりさま」的な「生き方見本」がない中で、
現在40代で、生涯結婚はしないと思うけど、そういう生き方のビジョンがイメージ出来ない…。
あるいは、
親・兄弟姉妹とも疎遠、ひとりで暮らし続けていくことに不安がある……。
こうした悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 マンションを買う? 一戸建て? 賃貸住宅? 住居に関する考え方はもちろん、貯蓄額、老後家計の考え方など、思い描く老後生活は十人十色です。
よりよい老後生活に向けて、40代からできる、住居・生活・貯蓄の“選択肢”について、この記事で取り上げていきたいと思います。
2.ひとりで生きていくことを選択する人が増えている
国立社会保障・人口問題研究所が公表する「人口統計資料集(2021年)(※1)」によると、2015年の「50歳時の未婚率」は男性が23.37%、女性は14.06%となっています。
今から約50年前の1970年には男性1.70%、女性3.33%であったことを考えれば、その割合は非常に大きくなっているといえます。 「50歳時の未婚率」とは、総務省統計局「国勢調査報告」による45~49歳と50~54歳における率の平均値によって算出したもので、これ以上年をとってから結婚する可能性は少ないと考えられることから、生涯独身でいる人の統計指標ともされています(※2)。
「結婚せずに生きていく」ことを選択する方が増えているのは明らかです。
日本の教育では「集団生活への適応」をよしとする考え方が強いことから、孤独・孤立をあたかも悪いことのように捉える傾向があります。しかし、むしろひとりのほうが自分の持つ力を発揮できるという人もいます。
「おひとりさま」を選択することは、決して悪いことではありません。
(※1)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2021年)」
(※2)生命保険文化センター「「50歳時の未婚率」は何を意味する?」
3.今の生活が優先。でも、「老後」は必ずやってくる
20代、30代はまだ収入が少なく、人生のイベントが多いので、まだ「老後」には目が向かないかもしれません。
しかし、40代になると収入も増え、生活もある程度安定する一方で、自身の親世代の介護が必要になってくるということが出てきます。
そうした中で、今まで考えもしなかった「自分の老後」についても考えるようになる人も多くいらっしゃると思います。また、40代ならリタイアまで十数年~20年くらいの準備期間を取ることもできます。
しかし、今は新型コロナ問題の渦中。老後資金の準備の必要性を感じていても、収入が減少し、思うように働けないような状況では、老後資金の準備どころではないと思われるかもしれません。
とはいえ、いつかはリタイアし、公的年金が収入の柱となる「老後」が訪れます。老後に得られる収入よりも支出が多ければ、貯蓄等を切り崩すことになり、貯蓄がなくなれば生活が破綻します。リタイア直前になって老後資金の不足に気づいても、急に収入を増やすことはできないし、運用して増やすことも難しいでしょう。
老後生活に直面する前に、考えておくこと、準備しておくことが必要です。
4.経済面での問題点
生きていくうえでは少なからずお金がかかります。
住宅関連費、食費、被服費、そのほかにもかかる費用はあるでしょう。
こうした生活に必要な資金を確保することは夫婦・家族があってももちろん必要なことですが、
ひとりの場合には、自分自身で老後にかかる費用まで確保する必要があります。
現在の資産状況に加え、今後予測される収入と支出を考慮した
老後のための資産形成をしっかり検討しておく必要があります。
この章では、老後資金の考え方のステップについて解説します。
4-1.現在の資産状態の把握
現在の主に金融資産も資産状況を把握します。
金融資産は流動資産、すなわち現預金や株式・投資信託など比較的換金しやすい資産のことを指します。不動産などのように資金化するのに時間がかかる資産もお持ちであれば把握しておきたいところですが、金融資産とは分けて考えます。
4-2.今後の収入予測
給与を得ている人であれば給与収入がメインです。
個人事業主や不動産賃貸などによって収入を得ている人などは、手元に残る可処分所得を把握する必要があります。
多めではなく、厳しめに考えておくほうが安全です。
4-3.今後の支出予測
日常の基本的な生活費(食費、水道光熱費、通信費、被服費など)、住居関連費(賃貸であれば家賃、更新料、保険料など。持ち家であれば住宅ローン、固定資産税、管理費、修繕費など)、保険料、旅行や趣味などのレジャー費や交際費なども含め、月ごとあるいは年ごとに予測します。少し余裕をもって計画しておいたほうが安全です。
4-4.キャッシュフロー表の作成
現在の資産状況をベースに毎年の収入と支出の予測を反映し、年ごとに金融資産残高を計算したものがキャッシュフロー表です。老後100年といわれる時代であり、長めの期間。少なくとも自分が90歳、できれば100歳になるまでのキャッシュフロー表を作成するのがよいでしょう。エクセルなどの表計算ソフトを使える方は利用したほうが便利です。
ただし、ここでいうキャッシュフロー表は、詳細なものではなく、ざっくりとした自分だけわかれば良いくらいのラフな感覚で作るのがおすすめです。そして、年ごとの金融資産の残高をざっくり確認することで、将来資金が枯渇しないことを確認します。
もし、金融資産が枯渇してしまうと予測される場合には早めに対策が必要です。
高齢になってからでは、対応が難しくなります。
5.住宅の考え方
キャッシュフロー表を作成するとわかると思いますが、
生活していくうえで住宅にかかる費用は少なくありません。
賃貸に住み続けるか、持ち家を取得するかは悩ましい問題です。
それぞれの人の生活スタイルによっても異なるため、一概に「どちらが正解」ということはできません。
しかし、それぞれにメリット・デメリットがあります。
この章では賃貸、持ち家、それぞれのメリット・デメリットについてお話しします。」
5-1.賃貸のメリット・デメリット
賃貸に住むことの最大のメリットは、ライフスタイルの変化に合わせて住み換えることが容易ということでしょう。
一方、デメリットは生きている限り家賃を負担し続けなければならないということです。
特に、年金生活に入ると負担が重くなります。収入が減ったからといって急に生活レベルを落とすのはなかなか難しいものです。 また、介護が必要になったときには有料老人ホームにお世話になるかもしれません。
こうした可能性も考慮し、年金生活に入る前にしっかり資産形成をしておくことが大切です。
5-2.持ち家のメリット・デメリット
持ち家の最大のメリットは、「ローンが終われば自分のものになる」ということでしょう。
ローンの返済が終われば住宅費負担が小さくなり、その先の住居に関する不安は小さくなります。
一方、持ち家のデメリットは「容易に住み換えられない」「住宅ローンの返済が長期におよぶ」ということでしょう。
また、持ち家を取得した後も固定資産税などの税金や、リフォームなどの負担があります。マンションならば管理費や修繕積立金もかかります。 こうした、自分の資産でだからこそかかる費用負担を念頭に置く必要があります。
6.これからの収入の確保を考えておこう
今までの章で話してきたことをまとめると、老後は老後なりの出費が予測されるので、今の収入がたとえどんなに多くても、それを全て使ってしまうのは良くないということはご理解いただけたと思います。
確かに、40代、50代、と歳を重ねるごとに、やりたいことの質も上がり、時間や心のゆとりも生まれます。
若い頃我慢してきた!という気持ちから、ついついお金を使いたくなるという心境になることもあります。
しかし、会社員の方は、50歳代になると役職定年などで収入がダウンするケースもあり、一般的に右肩上がりの収入が期待できなくなってきます。
さらに早期退職などで割増退職金が支給されるものの、希望どおりには再就職できないなど、その後の収入が激減するケースも考えられます。
まさに40歳代はその前の大変重要な時期です。将来のキャリアプランをしっかりと練っておき、一定の収入を継続できるようなしくみを確保しておくことが、老後の生活を豊かに安心して過ごすためには重要なことだと言えます。