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1.はじめに|長期投資に向かない! 危険な投信を知ってますか?
投資信託とは、投資家から集めたお金をプロのファンドマネージャーが運用する金融商品のことです。
2021年2月末時点で日本国内には5,891本の投資信託があります。
しかしこれだけ膨大な数がありながら本当に投資価値があるファンドは一握りだということをご存じでしょうか?
銀行や郵便局、証券会社などから投資信託の購入を勧誘された経験がある人は多いと思います。
しかしそもそも「他人からすすめられる投資信託に優良なものはない」と疑ってかかった方がいいのが、投資の世界です。
こうした「おすすめ」と言われる金融商品の中に「長期投資に向かない! 投資信託」が潜んでいます。
今回は、長期投資を考えて投資信託を始めている方には向かない危険な投資信託を3つご紹介します。
2.危険な投資信託3つをご紹介
2-1ブルベア型のETF・投資信託
ネット証券の取引ランキングで常に上位にランクインしているので、一見「みんな持ってるなら良いものなのかも? 」と思ってしまいがちなので注意が必要です。
なぜなら、このブルベア型の投資信託は、どんな場面でも利益を取りに行く『超上級者向け』だからです。
そして、長期投資には向かない投信の一つになります。
ベア型は、クマの前足に例えられていて、爪を振り下ろしていく=今後は下落相場だ! というときに投資をしていくものです。
つまり、指数が10%上昇すれば、基準価額も10%上昇するし、指数が10%下落すれば、基準価額も10%下落します。
「ブル3倍型」なら、指数が10%上昇するときに、基準価額はその3倍の上昇をするという内容です。
逆に「ブル3倍型」で基準価額が10%下落すれば、基準価額はその3倍下落します。
また、「ベア3倍型」は、「ブル3倍型」の逆の動き方をするので、指数が10%上昇するとき、基準価額はその3倍下落し、指数が10%下落するとき、基準価額はその3倍上昇します。
2-1-1.ブル型のETF・投資信託とは
ブル型ファンド(別名レバレッジ型)は、TOPIXなどのベンチマーク(基準指数)に対して、テコの原理のように何倍もの変動率で上昇するため、より大きなリターンを狙えるのが特徴です。
例えば、国内株式市場の値動きに対して約2倍の運用を目指す「One 日本株ダブル・ブルファンド」というブル型ファンドを例にとります。ベンチマークは日経平均株価なので、日経平均株価が前日比で5%上昇した場合、One 日本株ダブル・ブルファンドは10%程度上昇することになります。
しかし、相場が下降局面で日経平均株価が前日比で5%下落すれば、日経平均レバレッジ・インデックスは10%以上の下落率を見せる可能性があります。
このようにベンチマークに対してX倍の値動きになるため、元手を効率的に活用できますが、損失もベンチマークのX倍になるというハイリスク・ハイリターンの商品と言えます。
レバレッジを効かせてリターンの最大化を目指す投資方法としては、信用取引や先物取引がありますが、ブル型ファンドは現物取引でレバレッジの効いた投資が可能になる金融商品です。必ずしも信用取引のために委託保証金(取引のための担保)を入れる必要はありません。リスクは小さくないものの、現物取引なら損失は元手の範囲に限定されるのも特徴です。
2-1-2.ベア型のETF・投資信託とは
ベア型ファンドは、ベンチマークの値動きの逆の値動きで投資成果を目指すファンドです。「インバース型ファンド」とも呼ばれており、「インバース」は「逆」を意味します。
例えば、国内株式市場の値動きに対して約2倍反対の運用を目指す「One日本株ダブル・ベアファンド」というベア型ファンドを例にとります。ベンチマークは日経平均株価なので、日経平均株価が前日比で5%下落した場合、One日本株ダブル・ベアファンドは10%程度上昇することになります。
日経平均株価に対して変動率がマイナス2倍になっているため、このファンドは日経平均株価が下落すれば利益を生んでくれるのが特徴です。
しかし、日経平均株価が5%上昇した場合、このファンドは約10%下落することになります。このためベア型ファンドは、ベンチマークが下落すると予想される相場で利用するのに向いた商品であり、下落相場における他の商品のリスクヘッジ(リスク回避)に活用できる商品です。
2-1-3.ブルベア型のETF・投資信託の注意点と危険性のまとめ
ブル・ベア型の投資信託・ETFは、現物取引でも信用取引のように元手以上のリターンが狙える金融商品です。
短期的なトレンドが明確な場合、利益を効率的に増大させる投資手段になり得るため、新型コロナウイルスで株価が急落した昨今、ブル・ベア型の投資信託・ETFの売買が活発化しています。
ブル・ベア型の投資信託やETFはとにかくリスクや手数料に注意して慎重に選ぶこと。そして、初心者は勉強をしないで気軽に手を出してはいけません。もしやるのであれば、少額から短期投資の勉強として始め、長期投資としては考えないようにしましょう。
2-3.オプション取引関連の投資信託
一言で言うと、運用利回りの上乗せを狙う投資信託のことです。
こちらも、「運用利回りに上乗せがあるなんて、すごい! 」と思えますが、複雑で理解するのが非常に難しいという特徴があります。
コンスタントに大きな利益を狙っていく商品のため、手間がかかり、運用コストも高くなりがちです。
また、現状、そのリターンは低迷がちで、減ったときにもその理由がとてもわかりにくいそう。
つまり、難しいのに、難しいほどのリターンも得られないという、こちらも長期投資には不向きな商品です。
2-4.ノックイン投資信託
ノックイン投資信託は、対象となる指数が一定の水準まで下がる(=ノックイン)と元本割れするという投資信託です。
たとえば、「指数が6割下がったらノックイン」という条件の場合、指数が6割を切ったら必ず元本割れをします。
普通の投資信託の場合、100万円だったものが下がって80万円になってしまうことも、もちろんあります。
しかし、持ち続けていればまた100万円に戻ることも、もっと値上がって120万円になることもあるので長期間保有したほうがいいと言えます。
その点でノックイン投信の場合は、期間中に一度でもノックインになれば、勝手に償還されてしまって取り戻すすべがないというリスクがあります。
メリットは、他の商品に比べて比較的高い利回りが支払われることです。
ノックインにさえならなければ、高い利回りで利益が手に入るので、投資上級者が短期的な投資として考えるには向いています。
高い利回りは魅力的ですが、得られる可能性のあるリターンのわりには被るリスクが大きすぎるため、初心者や長期投資には向きません。
3.長期投資には向かない!「危険な投資信託」のまとめ
ですから、長期投資には向かない以下の3つの投資信託には注意をし、警戒することが重要です。
- ブルベア型のETF・投資信託
- オプション取引関連の投資信託
- ノックイン投資信託
もちろん、長期投資には向かないとは理解したけれど、勉強のつもりでちょっと手を出してみたい! という方もいるかもしれません。
そんなときは、ぜひ、少額で勉強代として始めてみてくださいね。