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1.はじめに
さて、前回の記事では、つみたてNISAと一般NISA口座について、
メリット・デメリットを詳しく解説しました。
復習になりますが、NISA制度とは
リスクを払って投資をして、大事なお金を失いたくない!
という理由で、銀行預金はできるけれど「投資はやらない」日本人。
世界の中でもダントツ銀行貯金率が多いと言われる中、
金融庁がキモ入りで国民に「投資」をうながす制度として導入した仕組みです。
そして、NISA制度とはまた違った仕組みの非課税口座が「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
この記事では、NISA制度とは区別されている
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)口座について、分かりやすく解説します。
2.個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の特徴
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、国民年金や企業年金とは違い、
個人が、自分自身のためにお金を支払い(拠出)
その掛け金を、自分自身で運用し、資産を形成する年金制度です。
掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
※60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
国民年金や、企業年金との違いは
- 決まった枠の範囲内で拠出する額を自分で設定できる
- 掛け金を自分で運用する
- 加入は任意である
この3つの点です。
また、加入できない人の条件は
- 60歳以上の人
- 海外に住んでいる人
- 国民年金保険料を払っていない人
そして、一部、会社員の人で、企業型確定拠出年金に加入している人などは
個人型確定拠出年金iDeCoには加入できないなどの規定はありますが、
基本的に20歳以上60歳未満の人が加入でき、
より豊かな老後の生活を送るための資産形成方法のひとつとして位置づけられています。
2-1.個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)のメリット
iDeCoでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇を受けることができるなど3つのメリットがあります。
メリットその1: 積み立てている間は税金が安くなる
確定拠出年金iDeCoの掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。
年末調整や確定申告をし、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減されます。
メリットその2:確定拠出年金制度内での運用益には税金がかからない
通常、金融商品の運用益には税金(源泉分離課税20.315%)がかかります。
しかし、確定拠出年金iDeCo内の運用商品の運用益については、税金がかかりません。
そのため、普通口座による金融商品の運用より効率的に老後の資金を貯められる可能性があります。
メリットその3:受給時に所得控除を受けられる
受給年齢に到達しiDeCoで積み立てたお金を、一度にまとめて受給する場合は「退職所得控除」、
分割で受給する場合は「公的年金等控除」の対象となります。
退職所得控除は、退職金のようなまとまったお金を受け取った場合に税金の負担が大きくなりすぎないように適用されるものです。
公的年金等控除は、国から支給される老齢年金などを受け取った場合に適用されます。
たとえば、今60歳でiDeCoに30年加入した方が2,000万円を受け取るとしましょう。
一度にまとめて受け取る場合は、
1,500万円(800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円)までは非課税となります。
分割で10年かけて受け取る場合は、
1年あたり87.5万円(200万円×25%+37万5千円)までは非課税となります。
メリットその4:運用が好調ならお金が増える
日本は低金利が続いています。2021年現在の普通預金の金利は、
金融機関にもよりますが年0.001%、定期預金の金利は年0.01%が一般的です。
iDeCoを利用して資産運用をしながら積み立てることで、
定期預金など固定金利の金融商品を購入するよりも
老後資金を増やすことができる可能性があります。
メリットその5:低コストな金融商品がそろっている
通常、投資信託を購入するときに購入手数料がかかったり、運用中は信託報酬を支払わなければなりません。
その点、iDeCoで取り扱われている投資信託は、ほとんどの場合購入手数料がかからず、
信託報酬も一般で販売されているものと比較してコストが低いものが厳選されています。
低コストと税金がかからないことで、複利運用が最大限に活かすことができます。
メリットその6:小額(月々5,000円)から始められる
iDeCoの掛金は、月5,000円から1,000円単位で設定できます。
今の生活レベルを維持できる金額に設定して積み立てを始めることができます。
2-2.個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)のデメリット
デメリットその1: 60歳までお金を引き出せない
iDeCoで積み立てる掛金は、原則として60歳まで引き出せません。
例えば「まとまったお金が必要になった」といった場合であっても
iDeCoの積み立て金に頼れないため注意しましょう。
所定の要件を満たせば脱退一時金を受け取れますが、条件がたくさんあるので、簡単には脱退できません。
iDeCoの掛金は基本的には引き出せないものだと考えておきましょう。
iDeCoの掛け金の変更手続きについても、年に1回しか出来ませんので注意が必要です。
デメリットその2:運用が不調なら損をする
iDeCoでは、投資リスクを加入者自身が負うため、老後の年金が増えることもあれば減ることもあります。
そのため金融商品の選び方によっては、支払った掛金の合計よりも、
老後の年金額が大きく下回る可能性があります。
ですから、年に1〜2回くらいの頻度で運用の見直しすることが大切です。
デメリットその3:加入時・運用時などに手数料がかかる
iDeCoに加入するときや商品を運用するとき、
資産を他の金融機関の口座に移すときなどに手数料が発生します。
iDeCoの手数料は、口座を開いた金融機関に支払う手数料と、
iDeCoの統括機関である国民年金基金連合会に支払う手数料の2種類あります。
国民年金基金連合会に支払う手数料は、どの金融機関でiDeCoの口座を開いても支払う必要があります。
1-3.ここまでのまとめ|個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)何がお得なの?
iDeCoのメリットとデメリットをまとめると
【メリット】
- 積み立てている間、運用している間、受け取るときの税金が安くなる
- 運用が好調なら、受け取れるお金は増える
- 低コストの金融商品がそろっている
- 小額(5,000円)から始められる
【デメリット】
- 60歳になるまで引き出せない
- 運用が不調なら損をする
- 加入時・運用時などに手数料がかかる
ここまでが、メリットとデメリットになります。
このメリット・デメリットを総合的に見て、iDeCoの何がお得なのか。
それは、やはり…
運用時の税金がかからないこと!
これが一番お得な点ですね。
ここでは、60歳になるまで引き出せないという点をデメリットに入れていますが
投資は基本的に長期で運用することで複利を使って資金を増やすという考え方なので
強制的に「引き出せない」という方が、かえって良いとも言えます。
iDeCoは長期で資産を運用しやすい条件がそろっている上、
さらに税制面での優遇があるので、これはお得といっていいと思います。
3.どんな人に向いてる?
iDeCoは20歳以上、60歳未満の方であれば誰でも加入することはできますが、
長期であればあるほど資産は増やしやすいので、できる限り若いうちに入った方が良いと思います。
ただし、現在の生活が経済的に安定していない人や、借金のある人は
事と場合にもよりますが、まずは問題を解決し、生活が安定してから始めることをおすすめします。
ここでは、職業別にお話をします。
3-1.公務員
まず加入を検討したほうがいいのは、「公務員」です。
安定した高収入を得ていると思われやすい公務員ですが、実は最近は厳しい状態に置かれています。
それはなぜかというと、ここ数年で「退職金水準の引き下げ」が行われているからです。
公務員の場合は、1ヶ月の掛け金が最大で1.2万円までできますので、
下げられた分の退職金すべてが戻ってくるわけではありませんが、
少しでも取り返すためにiDeCoを活用するのは賢い選択でしょう。
3-2.サラリーマン
「会社員」も基本的にはiDeCoを活用するほうがメリットは大きいと言えます。
近年は退職金制度を導入しない企業が増えているため、会社勤めの人でも退職金がない場合があります。
安定した収入がある会社員の間に、自助努力としてiDeCoを活用し、老後に備えるのもよいでしょう。
サラリーマンの場合は、1ヶ月の掛け金が最大で2.3万円までとなっています。
ただし、転職をした際に企業型確定拠出年金に加入しない場合は、引き続きiDeCoを継続することができますが、
加入する場合は、手続きが必要になりますので、その点はあらかじめ注意が必要です。
3-3.自営業・フリーランス
一般的に自営業・フリーランスの人には定年がなく、自分で準備しておかない限り退職金もありません。
老後の資金を貯金などで貯めるよりは、一部をiDeCoを活用する。
あるいは、iDeCoをフルに活用するのもよいでしょう。
フリーランスの場合は、1ヶ月の掛け金が最大で6.8万円までできますので、
税制面の優遇もその分大きいところが魅力です。
3-4.主婦・主夫
所得控除を受けられない(所得税・住民税の節税効果がない)ので、
iDeCoをする意味がないと思われがちですが、
- 運用益に対して税金がかからない
- 積み立てたお金を受け取るとき、大きな控除の枠がある
- 貯蓄するのが苦手な人でも老後資金を積み立てられる
- 将来扶養範囲を超えて働く場合に、所得控除を受けられる
といった、メリットはあります。
これらのメリットの中で、魅力を感じる項目があるのであれば、iDeCoを活用するのは良い事だと思います。
4.まとめ|老後資金を準備するなら、イデコがおすすめ!
この記事では、資産形成を考えるとき、最初に検討すべき「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」について解説しました。
iDeCoは60歳になるまでは、資金を引き出すことができないというデメリットがありますが、
逆に、老後資金を準備するのなら、強制的に60歳まで引き出すことのできないiDeCoは最適かつ最強と言えます。
また、非課税制度として、代表的なものに、「iDeCo(イデコ)」、「一般NISA」、「つみたてNISA」があり、
一番節税メリットが大きいのがこの「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
加入資格のある方は、まず、「iDeCo(イデコ)」を枠いっぱいまで使って貯蓄することをおすすめします。
「iDeCo(イデコ)」の加入資格がない方、あるいは、既に「iDeCo(イデコ)」を枠いっぱい使っていてさらに投資余力のある方は、
一般NISAまたは、つみたてNISAを検討したら良いと思います。
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