「お金で幸せは買える」「お金で幸せは買えない」正解はどっち?

青木博史

 

お金で幸せは買える——。

お金で幸せは買えない——。

あなたはどう思いますか? 昔から語られている普遍的なテーマですが、正解はどちらでしょうか?

この記事ではお金と幸せに関する調査結果や書籍、文献をまとめました。答えを一緒に探してみましょう。

1.「幸せ」とは何か?

そもそも「幸せ」とは何なのでしょう? 改めて考えてみるととても漠然としたキーワードですよね。漠然と思ってしまうのは、人それぞれで幸せの定義が違うからです。幸福度が上がる現象が起こっても幸せの感じ方は人によって違います。

幸せとお金に関するテーマは普遍性のあるテーマで、古今東西で語られ、研究されてきました。

2.お金で幸せは買える?買えない?

お金と幸せに関する調査を一つ紹介します。この調査結果を見ると「お金がある=幸せ」とは一概に言えなそうです。

2-1.年収1,000万円でも幸せと思えないビジネスマン

プレジデント誌が2014年に働くお父さんを対象にした調査したデータがあります。年収が高ければ幸福度も高くなると思いそうなものですが、年収300万円の方で幸福度(自己採点)70点以上が半数以上いる一方で、年収1,000万円なのに幸福度が70点未満の方が30%以上いるという結果に。

年収300万円でも幸せであると言える人は、出世争いから早々降りて仕事上のストレスが少なく、プライベートの充実度を上げています。

年収1,000万円以上稼いでいるのに幸せと思えない人は、仕事上のプレッシャーと日々戦っているストレスに苦しんでいる、理想の生活水準を満たせていないという不満があるようです。

参考:年収1000万vs300万「人生とお金の満足度」1000人調査

2-2.“お金で買える幸せ”はあるが“買えない幸せ”もある

上の調査データは一つの例ですが、幸せにはお金で買えるものと買えないものの2通りあるのは間違いなさそうです。年収1,000万円なのに幸せだと思っていないビジネスマンの方は、お金で買えない幸せを求めている一面もあるかもしれませんね。

お金がどれだけあっても解決しない悩み、不安、不満はいくらでもあります。例えば、友人がいない、恋人がいない、、好きな人ができないといった人的な悩み。趣味がない、夢中になれるものがないといった生きがいにつながる悩み。不治の病などの健康に関する悩みなどです。お金で解決できない問題がある人にとっては「お金で幸せは買えない」といえます。

2-3.お金で解決できる「不幸せ」はある

次に、お金で買える幸せとは何でしょうか?

この記事ではひとまず「お金で買える幸せとは、お金がないことによって生じる不幸せを解消した状態」としましょう。

将来の金銭的な不安、時間がない、お金と時間がなくて好きなことができない、貧困で治安が悪い汚い所にしか住めない、子供に満足のいく教育ができないなど、お金がないことで生じる悩みはいくらでも出てきます。これらの問題をお金で解消できれば「お金で幸せは買える」といえるでしょう。

3.お金がいくらあれば幸せか?

たしかに人々の悩み、不安、不満などの多くはお金で解決できる問題の方が多いでしょうから、お金はあるにこしたことはありません。

そうなると次の問題は、どのくらいのお金があれば十分なのか。

「いくらあっても困ることはないから10億欲しい」なんて声が聞こえてきそうです。

筆者の感覚では、月収200万円に届くまでの間は幸せな生活に近づいていく実感がありましたが、それ以上になると実感は薄くなってくるというか、あまり変わっていない気がします。

ちなみに、お金と幸福度を対象にした研究結果でも、おおよそ似たような金額が出ています。ある程度の収入を超えると幸福度は頭打ちになるのは万国共通なのでしょう。

ウォールストリートジャーナル|The Perfect Salary for Happiness: $75,000

https://blogs.wsj.com/wealth/2010/09/07/the-perfect-salary-for-happiness-75000-a-year/

アメリカの調査会社ギャラップ社が2008年、2009年に45万人のアメリカ人を対象に実施した調査結果を、経済学者アンガス・ディートンと心理学者ダニエル・カーネマン分析した結果では、幸福度が頭打ちになる年収を75,000ドル(1ドル110円換算で825万円)としています。

「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書 – 内閣府

https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/report01.pdf

内閣府の調査によると、世帯年収別の生活主観満足度のピークは「年収2,000万円以上3,000万円未満」ということです。世帯年収ですので2で割れば年収1,000万円以上1,500万円未満に、3で割れば年収666万円以上1,000万円未満になります。

出典:「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書 – 内閣府

4.お金の使い方で幸福度は変わる

お金と幸せに関するテーマで、興味深いプレゼンがあります。

■マイケル・ノートン: 幸せを買う方法

https://www.ted.com/talks/michael_norton_how_to_buy_happiness?language=ja

自分のためではなく人のためにお金を使った方が幸福度があがる、お金で幸せを買える、というお話。このプレゼンでは、幸せの定義づけがされていませんが、肌感覚で納得感のある話だと思います。

「手元にあるお金を何に使うか」を見直してみることで、より幸福度が高くなるかもしれません。

5.お金と幸せに関する書籍4選

お金と幸せというテーマは普遍的なもので、古今東西でこのテーマの書籍が多数出ています。ここでは4つのお金と幸せにまつわる書籍を紹介します。

これらの本を読めばすぐにお金を稼げる、幸せになれるわけではありませんが、悩みを解決するヒントになったり、考え方を変えるきっかけになるでしょう。

5-1.漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則

https://www.amazon.co.jp/dp/4866511249/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_AlTCEbK4QD70W

お金に関する書籍として100年以上読み継がれている原著「バビロンいちの大金持ち(The Richest Man In Babyron)」の漫画版。どうすればお金を増やせるのか、という普遍的な悩みに対する答えがあります。節約するのが習慣になるまでの間で挫けそうになったときに読み返してみてほしいです。

5-2.幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

https://www.amazon.co.jp/dp/B072FNR1DS/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_hkTCEbY9V5FNE

お金に関する書籍を多数発行している橘玲氏のベストセラー。「幸せ」の条件を「自由」「自己表現」「共同体=絆」の3つであるとし、それらを満たすために「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」という3つの資本を提言。この3つの資本をどうすれば得ることができるのか解説しています。

5-3.「幸せをお金で買う」5つの授業

https://www.amazon.co.jp/dp/B00IKF4JO0/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_BoTCEb8DAF34P

ハーバード大学のマイケル・ノートン氏とカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のエリザベス・ダン氏、2人の研究者の共著。お金で幸せを買う方法が提言されています。「4.お金の使い方で幸福度は変わる」でご覧いいただいたTEDの動画でプレゼンしている内容も含まれています。

お金で解消できる不幸せをすべて解消した次のステップに。日々の暮らしに不自由はないけれど、人と比べて幸せな気持ちになる機会が少ないなと感じている人におすすめします。

5-4.大脱出――健康、お金、格差の起原

https://www.flierinc.com/summary/716

著者は2015年のノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏。幸せを産み出す「富」と「健康」の2つの要素に着目し、幸福・所得・健康の関係と格差における研究結果を読めます。

まとめ.将来への貯蓄と投資の勉強で「幸せ」を掴む

「お金で買えない幸せ」を手に入れるのは難しいかもしれませんが、「お金で買える幸せ」はお金があれば解決します。

お金で解決できる問題で悩んでいるのであれば、悩んでいる時間をお金を作る時間に変えましょう。

まずは、働いて得たお金を貯蓄してまとまったお金を作ることを目指す。貯蓄する方法は「収入を増やし、支出を減らす」をストレスにならない方法で行うのが長続きするコツです。そして貯蓄と並行して資産を増やすための投資の勉強を始めるといいでしょう。

このメディアには、誰でもできる貯蓄方法や、ゼロから始める投資の勉強方法などを紹介した記事がありますので、よろしかったらそちらの記事もご覧ください

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