1.はじめに
長期間、積立で少しずつ投資信託を買うだけ。ほったらかしでお金が増えてくれる「ほったらかし投資」は忙しくてもズボラでも続けられる投資です。
そして、実は「長期」「積立」「分散」投資という、投資の王道をしっかりと押さえた本格的なやり方といえます。
今回は、そんなほったらかし投資のメリットとデメリットを解説します。
お金を増やすためにも、ぜひ参考にしてみてください。
2.ほったらかし投資とは?
ほったらかし投資とは、最初に仕組みを整えた後は放置しておいても運用を継続できる投資方法です。
「投資」と聞くと、常に値動きをチェックして、短期間のうちに何度も売買を繰り返すデイトレードのようなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、投資はあくまでも長期保有が王道です。
そんな長期投資ですが、難しくあれこれ考えなくても、自動積立を利用したり、専門家に運用を任せたりすることで、手間をかけずに長期的に投資を続けられる方法もあります。ほったらかし投資であれば、初心者や多忙で時間がない人でも無理なく資産を増やしていけます。
3.ほったらかし投資のメリット・デメリット
さて、投資初心者や忙しい人におすすめのほったらかし投資ですが、この章では具体的にメリット・デメリットを解説します。
3-1.メリット:時間や手間がかからない
ほったらかし投資は、投資に時間や手間がかからないのが最大のメリットです。最初に仕組みを整えてしまえば、あとは放置しておいても運用を続けられます。常に値動きをチェックしたり、何度も売買したりする必要がないので、仕事や家事、育児、趣味などにも集中して取り組めるでしょう。
3-2.デメリット:短期間で資産を大きく増やすのは難しい
ほったらかし投資は、時間をかけて資産を増やしていく方法です。利益を再投資して運用を継続することで、利益が増幅していく「複利効果」が期待できます。複利効果は運用期間が長くなるほど大きくなるので、長期にわたって運用を続ける必要があります。
短期間で資産を大きく増やしたい人は、他の投資方法を検討しましょう。
4.ほったらかし投資がおすすめな理由
上記でほったらかし投資の大まかなメリット・デメリットについて解説しました。
次にこの章では、なぜこのほったらかし投資が、投資初心者や忙しい人におすすめな投資方法なのかについての理由についてお伝えしたいと思います。
4-1.お金が勝手に増えていく
日本経済・世界経済は、スピードの差こそありますが、少しずつ成長しています。IMF(国際通貨基金)「世界経済見通し」によると、2019年の世界全体の経済成長率(実質GDP成長率)は3%(10月発表)と予測されています。2019年は少し下方修正されましたが、それでも3%ですし、2020年はやや上昇すると予想されています。
これから先、景気が一時的に落ち込むこともあるでしょう。しかし、それでも、人間の経済活動が続く限り、世界はだんだん豊かになるというのが投資家の考え方です。
いいかえれば、そんな世界に投資をすれば、日本経済や世界経済の成長と連動しながらお金を増やせる。
だからこそ、投資するのです。
4-2.複利効果で年4~8%も狙える
投資でぜひ生かしたいのが、複利の力です。複利は、元本に利息を加えた金額に対して、次の利息をつけること。つまり、長く続けるほど利息の額は増えることになります。
銀行の預金でも複利の力は働きますが、マイナス金利の影響で利息がごくわずかなので、お金を増やすことは望めません。
その点、投資信託では、得られた利益を再び投資に回すことで、複利の力を生み出します。複利効果を積極的に得るようにすれば、年4〜8%も狙えるでしょう。
4-3.リスクが抑えられ、リターンのブレが小さくできる
投資では、リスクという言葉を「危険性」ではなく「得られるリターンのブレ幅」という意味で使います。
短期間の投資はリスクが大きく、リターンのブレ幅も大きくなってしまいます。
その点長期間の投資だと、リスクが抑えられるため、リターンのブレ幅が小さくなる傾向があります。金融庁の試算では、投資信託に20年投資した場合のリターンは年2%~8%。あくまで過去のデータですので、過信は禁物ですが、「長期」「分散」「積立」を組み合わせた「ほったらかし投資」であれば、お金を減らさず、堅実に増やせていけるでしょう。
4-4.リスクを自分でコントロールできる
投資信託は、いろいろな金融商品の詰め合わせパックのようなもの。中に何が入っているかで、リスクやリターンが変わります。投資信託を1本買っただけでも、数十から数百の金融商品を買ったのと同じような効果があるのですが、さらに複数の投資信託を組み合わせます。
「お金を大きく増やしたい」「ある程度守りながら増やしたい」など、投資の目標は人それぞれでしょう。そういった目標に合わせて自分で投資先を選ぶことができます。
4-5.自分のペースで無理なくできる
投資にはたくさんのお金が必要だと思っている方は多いのですが、必ずしもそんなことはありません。
投資信託は、金融機関によっては100円から買えます。ですから、今それほどお金に余裕がない人や、いきなり多額のお金を出すのは心配な人でも、気軽に始めることができます。
もっとも、100円だけ買って持っていても、お金はほとんど増えていきません。投資信託の利益は、買った金額に応じて受け取れるしくみだからです。ですから、決まったタイミングで買い増し、元本を大きく育てていく積立投資がおすすめです。
4-6.投資の敵「感情」を排してできる
投資信託でも株式投資でも、値動きのあるものを売買するときには、「もっと安く買えるかもしれない」「もっと高く売れるかもしれない」といった感情がつきものです。しかし、その思いどおりに値動きするとは限りません。安く買おうと思っていたのに値上がりしてしまったり、高く売ろうと思っていたのに値下がりしてしまったりして、損をすることもたくさんあります。
その点、ほったらかし投資なら、一度設定をすればそうした感情を挟まずに淡々と投資を続けられます。
4-7.値下がりすら味方にできる
ほったらかし投資では、たとえば毎月5000円、毎月3万円、などという具合に、毎月一定額ずつ投資します。
もちろん、途中で相場が落ち込むこともあると思いますが、投資信託を一定額ずつ買うと、その投資信託が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わなくなります。つまり、平均の購入金額が少しずつ下がるため、再び値上がりしたときに利益が出しやすくなるのです。ほったらかし投資は、値下がりすら味方にできる投資法ということができます。
4-8.老後資金を貯めるのにも向いている
ほったらかし投資は、時間をかければかけるほどメリットが大きくなると考えられる投資ですから、数十年かけて老後資金を貯めるのにもぴったりです。
さすがに、年金制度が崩壊することは考えにくいのですが、少子化が進めば、年金制度を支える現役世代の人数が減っていくため、もらえる年金の額が減っていく可能性は高いでしょう。長く働き続けて収入を増やすことも視野に入れ、自助努力で自分年金を築く必要があります。そのための手段のひとつとして投資信託は有効です。
4-9.iDeCo・つみたてNISAと相性がいい
ほったらかし投資と相性のいい制度に、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とつみたてNISA(積立NISA・少額投資非課税制度)があります。普通、投資の利益には約20%の税金がかかります。しかし、これらの制度で投資信託を買うと、利益に税金がかからなくなります。
さらに、iDeCoでは、お金を出すときや受け取るときにも控除があるため、税金を安くすることもできます。
4-10.面倒くさい人でも忙しい人でも、初期設定をするだけでできる
ほったらかし投資は、(1)ルールを知る (2)商品を選ぶ (3)金融機関を選んで購入手続きをするという3ステップで、誰でもスタートできます。しかも、毎月いくら、どの商品を買うかといった簡単な初期設定をしておけば、あとは基本的にほったらかしOKです。ですから、投資が面倒くさい人にも忙しい人にもおすすめです。投資がスタートしたら、あとは淡々と購入していくだけ。値動きやタイミングを気にする必要はありません。
ほったらかし投資で大切なのは、時間を味方につけること。そして究極の極意は、一度設定したらあとは、「ほったらかし投資」をしていることを忘れること。
相場の波で一喜一憂しないことが長期で続けるコツです。長期でしっかりと資産運用をしていきましょう。
5.まとめ|ほったらかし投資で手間をかけずに資産を増やそう
ほったらかし投資なら、初心者でも手間をかけずに資産を増やすことが可能です。ただし、短期間で資産を大きく増やすのは難しいため、長く運用を続ける必要があります。ただし、投資方法によってメリット・デメリットが異なります。
自分に合った方法を選び、賢く資産を増やしましょう。