いざ投資を始めようと思っても、投資商品は種類も多く、特徴もさまざま。
しかもほとんどの投資商品は元本保証ではないので、選び方を間違うと損をしてしまう可能性もあるのではないかと思うと、なかなか選ぶこと自体も簡単ではありません。
投資にはどんな種類があって、それぞれどんな特徴や傾向があるのか? たくさんある種類の中から自分に合った投資を見つけるにはどうすれば良いのか?
といった疑問にお答えするため、「投資の種類」を基本から順に解説していきたいと思います。
1.投資の種類について基本をおさらい
投資とは何かという前提について、最初に解説したいと思います。なぜなら、投資に対するイメージは広く浸透しているものの、そこにある本質にまで目が向いていないことが多いからです。
1-1.そもそも、投資とは何か
投資とは、資本(お金のことです)を投じるという意味の言葉です。お金を投じる目的はさまざまですが、ほとんどの人にとっての投資とはお金を投じた結果、お金を増やしたいという目的を実現するための手段です。
一旦はお金を投じるのですから元本保証ではありませんし、最悪の場合は投資金の全額を失う可能性もあるのが、投資の本質です。
投資を始める人のほとんどがお金を増やすことしか見ていませんが、投資には「リスクがある」ということを知っておかねばなりません。
そして、このリスクというのは、投資家としての実力に応じてその大きさは変わっていきます。
投資は一時的に行うものではなく、生涯を通して行うものですから、少しずつでもいいので投資の勉強を続けることが重要なのです。
1-2.投資で得られるもの
投資で得られるものは、お金をはじめとするメリットです。お金だけと言い切らなかったのは、お金以外にもメリットの種類は数多くあるからです。
エンジェル投資といってスタートアップ企業に大富豪が投資をする仕組みがありますが、これはお金を増やすというより誕生したばかりの企業やビジネスモデルを育てるために、いわば子育てのような感覚で行う投資です。
欧米では社会貢献の一環として広く行われており、この場合のメリットは若き起業家の育成や社会貢献です。
一般の投資家にとって投資で得られるのは「増えたお金」ですが、それ以外にも投資経験やノウハウといった見えない財産があります。
実はこれも大変重要なもので、長い時間をかけて得られた知見や投資の基礎力ともいえる能力にはプライスレスの価値があります。
1-3.投資のリスクとリターンの関係
投資にはリスクがあるので、最悪の場合は投資金の全額を失うことも含めて考慮に入れておく必要があります。
一方でリターンとはリスクを織り込んだ上で投資をした結果もたらされるメリットで、リスクが高い投資では総じてリターンも高いという相関関係があります。
この相関関係には、明確な理由があります。
例えば国の借金として発行される国債では、返済リスクの低い国ほど国債も低金利です。
日本の国債は返済リスクが極めて低いため金利も低いですが、途上国など返済リスクが高い国の国債は金利も高くなります。
虎穴に入らずんば虎子を得ずという言葉がありますが、投資の世界にも同じことが言えます。
高いリターンを得たければ高いリスクを許容しなければなりませんが、その分損失を出してしまう可能性は高くなることが避けられません。
1-4.投資商品の種類は増え続けている
よりリスクを低減して高いリターンを得たいというのは、すべての投資家に共通する願いです。
しかし実際にはリスクとリターンには密接な相関関係があるため、それを両立する究極の投資(ローリスクハイリターン)は存在しません。
しかし、少しでもリスクを低減しようとする投資商品は続々と登場しています。
投資信託はその典型例で、インデックスファンドといって市場の指数と連動する商品などはリスク分散を図る上で有効な投資手法です。
その一方で、ハイリスクを極めたような投資商品もあります。
こちらの代表格は仮想通貨取引だと思いますが、いずれもリスクとリターンの関係性の中でそれぞれの位置づけを好む投資家向けに新しい投資商品が登場しています。
このように投資商品の種類は増え続けており、その傾向は今後も続くでしょう。
2.一口に投資といっても種類はさまざま
リスクとリターンの関係において、投資にはさまざまな種類があります。リスク度別に分類すると主に3種類になりますので、それぞれ解説していきましょう。
2-1.とにかく安全を重視したい人向けの投資
手持ちの資金をできるだけ減らしたくない、リスクにさらしたくないという方向けなのが、ローリスク投資です。
定期預金は元本保証なのでその代表格ですが、それ準ずる事実上の元本保証である個人向け国債などです。
しかしこれらのローリスク投資は安全性こそ高いですが、利回りも良くて0.2%程度なので、お金を増やすという本来の目的からは程遠いと言わざるを得ません。
しかし何もせずに放置しているよりは有利であることに変わりはないので、資金の使途や時期が決まっている資金の運用方法としては有効だと言えます。
2-2.若干のリスクを取っても良い人向けの投資
若干のリスクを取りつつも、少しでも有利な利回りで運用したいという方には、ミドルリスク投資が適しています。
現物不動産投資や不動産系の投資信託、上場型のインデックスファンドであるETFなどが筆頭格で、投資家からも高い人気を誇ります。
配当収入を目的とした株式投資やスワップ収入の蓄積を目的としたFXなども、資金管理が重要にはなりますがミドルリスク投資に分類できるでしょう。
その他にはクラウドファンディングを活用したソーシャルレンディングという高利回りの投資商品もありますが、こちらは案件によってはハイリスク商品に分類されるものも多々あります。
2-3.とにかくハイリターンを狙いたい人向けの投資
ハイリターンを謳っている投資は、当然ながらすべてがハイリスクです。
仮想通貨投資がいかにハイリスク&ハイリターンであるかは、ビットコインの乱高下を見てもお分かりいただけると思います。
ハイリスクであるもののハイリターンを狙える投資としては、ほかに株価変動益やレート変動益を狙った株式投資やFX、10%を超えるような高利回りのソーシャルレンディング投資などが挙げられます。
これらの投資はいずれも成功すれば10%を優に超えるような高利回りが期待できますが、その一方で資金の一部または全部を毀損してしまうリスクが隣り合わせです。
2-4.投資家の実力によってリスクは変わる
ここまで説明してきてたリスク度別の投資の種類ですが、これはあくまでも一般的な話になります。
投資家の実力、レベルによってリスクの度合いが異なるのは当然の話で、例えばレベルが高い人からすると、一般的にリスクが高いと言われるFXでも、ローリスクで運用できる投資になります。
3.同じ投資にも投資スタイルの種類がある
投資商品にさまざまな種類があるように、同じ投資商品であってもいくつかの投資スタイルがあります。同じ投資商品であっても投資スタイルによって目的や性格が異なるため、ここで解説します。
3-1.超短期投資
超短期投資は、株やFX、仮想通貨などで見られる手法です。わずかな利幅を少しずつ取り続け、それを積み上げることで大きな利益を狙っていく投資スタイルです。
薄皮をめくるように少しずつ利益を取っていくことから、「スキャルピング」と呼ばれることもあります。
秒単位、分単位で行うことが普通なので、リアルタイムで価格が変動している投資商品でのみ使える手法です。
3-2.デイトレード
超短期投資ほど時間軸は短くありませんが、1回の投資をその日のうちに終了するようなトレード手法のことを、デイトレードといいます。
日をまたがないのは、突発な価格変動などで損失を出してしまうリスクを回避するためです。
そのため、デイトレードは短期的なギャンブル要素の強い投資であるというイメージを持っている人もいますが、実際には株やFXなど常に値動きしている投資商品のリスク管理を目的とした投資スタイルであるとも言えます。
3-3.中長期投資
中長期投資とは、おおむね数ヶ月から年単位というスパンで取り組む投資のことです。
例えば株式投資の「バリュー投資」は成長が見込まれる銘柄がまだ未成長のうちに購入して、大きな値上がりを見込む投資なので、中長期的な視点の投資です。
この他にも好調な不動産市場のさらなる成長を見込んでREIT(不動産投資信託)を保有しておくなど、短期的な価格変動に一喜一憂することなく将来や老後の備えなど長期的にお金を増やしていきたいという目的に適しています。
4.自分に合った投資の見極め方
ここまで投資商品の種類や投資スタイルの種類などについて解説してきましたが、それではこのうちどれが自分に合った投資なのかという答えを導き出す方法を解説します。
4-1.投資の目的を見極める
最初に決めておくべきことは、投資を始める目的です。漠然と「将来のため」というニュアンスではなく、いつまでにいくらの資産を構築したいのかという具体性を持たせることにより、投資に必要な時間や利回り、資金などを逆算することができます。
例えば、45歳の人が「65歳までに1,000万円の資産を作りたい」という目的を持っているとしたら、そこから逆算をして「毎月3万円を積み立てて年利3.2%以上で運用する」という必要条件を求めることができます。
こうした計算は証券会社や銀行などのサイトに無料で利用できるシミュレーターがあるので、目標を立てる際にお役立てください。
【参考】
4-2.投資に用いるお金の種類を見極める
次に投資に用いるお金がどんな種類のお金なのかを確認します。例えば「3年後に子供の大学入学金として使う予定」というお金であれば、3年後に必ず現金化できなければなりません。
そうではなく余剰資金で特に使途が決まっていないお金であれば多少のリスクを取ることもできますし、運用の納期が決まっていないので時間的な制約も気にしなくても良いため投資の選択肢が広くなります。
投資に用いるお金がどんなお金なのかは、投資の種類を決める際にも大きなウェイトを占めています。
4-3.大切なのは各種投資の最適な組み合わせ
ローリスクからハイリスク投資まで、投資にはさまざまな種類があることをお伝えできたと思います。大切なのはこの中のどれか特定の投資をすることではなく、それぞれの特徴をしっかりと踏まえながら最適な組み合わせを組み立てることです。
異なる投資商品を組み合わせることをポートフォリオといいますが、自分自身が投資に何を求めるのか、どこまでリスクを許容できるのかを見極めながら最適な組み合わせを構築していくことで生まれるのが、自分に合った投資です。
まとめ
投資と一口に言ってもリスクやリターンによる種類、そして投資スタイルによる種類、ここでは書いていませんが流動性(資産交換のしやすさ)による種類など、かなり選択肢が広いことがお分かりいただけたと思います。
選択肢が広くなることは良いことですが、その一方で決めるのが難しくなるのも事実です。
この記事の情報を参考に、自分に合った投資商品や投資スタイルをしっかりと見極めて最適なポートフォリオを構築してください。
まず最初にあなたがすべきことは、投資する目的を整理することです。
今まで通り自分のお金を他人に託したいのか、それとも自分のお金を自分でコントロールできるようになりたいのか——。
投資は生涯行うことができます。少しずつでもいいので投資の勉強を続けていきましょう!