ほったらかし資産運用の真実と成功するための3大原則

青木博史

 

「ほったらかし」による資産運用に、魅力を感じている方は多いと思います。自分は何もしなくても勝手にお金が増えていくのであれば、誰もが魅力を感じて当然でしょう。

ほったらかしで資産運用はできるのか?そんな夢のような仕組みを手に入れるにはどうすれば良いのか?この記事では「ほったらかし」に焦点を当てて考察してみたいと思います。

1.そもそも「ほったらかしの資産運用」とは何か

これから資産運用を始めようとお考えの方にとって、ほったらかしで勝手にお金が増える魔法の箱のようなものがあれば、ぜひそれを手に入れたいと思うことでしょう。資産運用にそれを期待している方はとても多いと思いますが、そこには前提条件や定義しておくべきことがあります。

1-1.そもそも資産運用はほったらかしである

前提条件として認識していただきたいのは、そもそも資産運用はほったらかしであるという事実です。もちろん何もしなければお金が動くこともありませんが、実は投資家にできることは限られています。

例えば株式投資をしている場合、多くの投資家は値上がりしそうな株(つまり成長しそうな企業)を探して買おうとします。しかし、個人投資家がその企業の業績を高くするためにできることは限られています。その企業の努力と成果に期待するしかないわけです。

1-2.ほったらかしをどう定義するか

それでは株やFXでデイトレードなどの短期売買をしている投資家は、ほったらかしではないのでしょうか。これについても定義は同じで、投資対象の値動きに自分が関与することはできないので、やはり投資家にできることは限られていると考えられます。

おそらく当記事をお読みになっている方は、ほったらかしという言葉に対して「最初に投資や設定をしてしまえばあとは放置しておくだけでお金が増える」ことをイメージされていると思いますが、それはほったらかしの言葉が持つ意味のうちのひとつであり、事実とは少々意味が異なることになります。

2.「ほったらかしの資産運用」で投資家がやること

それでは、ほったらかしの資産運用を実践するために投資家がするべきことを整理してみましょう。大切なのは、戦略とストーリー、そして勉強です。

2-1.資産運用の戦略を組み立てる

資産運用には戦略が必要です。何の資産に対してお金を投じていくのか、その資産を選ぶ根拠は何か、キャピタルゲイン(値上がり益)を狙うのか、インカムゲイン(配当収入)を狙うのか、どれくらいの資産形成を目標にするのかといったように、資産運用の全体像を構築することから始めます。

これはそれぞれの投資家が自分で決めるものです。仮に誰かが組み立てた資産運用戦略を真似するとしても、その戦略を真似るのを決めるのは投資家本人の判断です。

2-2.ストーリーを定義する

もうひとつ、投資家が決めるべき重要なことは資産運用のストーリーです。投資には必ずスタート地点があり、ゴールがあります。ゴールを設定したうえで、そのために必要な投資行動の戦略を立て、その戦略に基づいて具体的な行動を起こします。

もちろんストーリー通りになるとは限りません。ゴールとして設定していた通りになるかどうかも相場が決める部分が大きいので分かりませんが、そのためにリスク管理があります。リスク管理については、次章でそれも含めたおすすめの戦略を提示したいと思います。

2-3.実践と並行して投資の勉強をする

資産運用は基本的にほったらかしであるとはいえ、戦略を立てたり運用を進めていくうえでは知識や経験が必要です。それがなければ投資はただのギャンブルになってしまいます。投資がギャンブルと大きく異なるのはまさにこの点で、投資は勉強をすればするほど結果がついてきます。

人は自分の利害に直接関わることになると、勉強するモチベーションも高くなります。自分の大切なお金を運用しているのですから、その環境を利用して投資の勉強を進めていきましょう。それに伴って徐々に投資の規模を大きくしていくのがセオリーです。

3.初心者におすすめの「ほったらかし資産運用」

最後に、初心者におすすめのほったらかし資産運用術を伝授したいと思います。この方法はどんな資産で運用する場合にも有効なので、ぜひマスターしてください。

3-1.基本は「長期、積立、分散」

資産運用には、3つの基本があります。それは長期、積立、そして分散です。それぞれのポイントは、以下の通りです。

3-1-1.長期

一般的に資産運用とは、10年単位の長期運用のことを指しています。長期運用をすることで短期的な値動きによるリスクを平均化し、さらに複利効果といって雪だるま式に資産を増やしていくこともできます。時間を味方につけることは資産運用の大きなポイントなので、長期運用が基本となります。

3-1-2.積立

毎月1万円、3万円といったように決まった金額を積み立てていくことも、資産運用の基本です。「ドルコスト平均法」というリスク管理手法がありますが、これは毎月一定額を積み立てていくことによって取得価格が平均化されるメリットがあります。

また、今すぐまとまったお金がなくても積立なら始められる方は多いと思います。そんな方にとっても積立投資は今すぐ始められるメリットとなります。

3-1-3.分散

投資のリスクを軽減する手法として、分散投資は基本中の基本です。投資の世界には株や債券、通貨、資源、不動産などさまざまな金融資産があるので、複数の資産に分散しておくことで運用資産全体に重大なダメージが及ぶことを回避できます。

例えば、2020年3月に起きたコロナショックと呼ばれる株の大暴落時には、世界各国の株が暴落する一方で金や米国債など安全資産の価格が高騰しました。この時、株だけに集中投資をしていた人は甚大なダメージを受けたと思われますが、複数の金融商品に分散投資をしていた人は一部のダメージで済んだはずです。

3-2.少額から始める

適切な投資規模を知り、それを守ることも資産運用の鉄則です。大きな利益を狙って身の丈に合わない投資をした人がどんな末路を迎えたのか、これは言うまでもないでしょう。自分の資産規模だとどれくらいの金額を投資に回して良いのか、その適切なラインを知ることはとても大切です。

また、資産運用は余剰資金で行うのが基本であり、生活資金など必要なお金を投じてしまってはいけません。さらに余剰資金のうち全額をいきなり投じてしまうのではなく、少しずつ投資をしていくことでドルコスト平均法を実践するのも有効です。

3-3.マネーリテラシーを高める

投資では勉強がとても重要だと述べましたが、資産運用を始めるのはお金を知る絶好の機会でもあります。お金を知り、お金と正しく付き合っていくことは長期的な利益につながるので、この機会にマネーリテラシーを高めていきましょう。

具体的には節約によるお金の残し方や、自己研鑽につながるようなお金の使い方、そして身の丈に合った資産運用によるお金の増やし方といった具合です。これは資産運用を始めることによって自然に身についていくものですが、実はこのマネーリテラシーこそ、資産運用で得られる人生最大のメリットかもしれません。

4.まとめ

ほったらかしの資産運用についてその真実と実践方法を解説しました。最初に記事を読み始めた時は異なる認識をお持ちになったのではないでしょうか。その「異なる認識」がとても重要で、これからの資産運用での成功に必ず役立ちます。正しい認識と実践で、成功する投資家を目指しましょう。

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