サラリーマンの副業投資家が知らないと損をする節税の基礎&実践知識

青木博史

最近は年金2,000万問題やAIの普及による失業問題などにより、将来のお金や収入の不安が高まってきていることから、副業をするサラリーマンが増加傾向にあります。

これ自体は良いことですが、年金などの将来のお金のために資産形成をするならば、お金を増やすことと同時に節税をすることも重要になります。

しかし節税というと、サイドビジネス系の副業ならしっくりくるかもしれませんが、最近サラリーマンが選ぶ副業として人気が出てきている投資では、どうやって節税すれば良いのか、そもそも必要性があるのかもよく分からない方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、このことを理解しておくと副業として投資を選んだ時に、手元に残るお金に大きな差が生じます。

資産形成を成功させるためにも、投資における節税の必要性と、知っておくと得をする節税術をお教えします。

1.サラリーマンが投資を副業にした時に節税は必要?

投資は労働などのビジネス系の副業とは違うお金の稼ぎ方であるため、節税への意識が薄いことや、そもそも税金についての知識が曖昧であることも多くあります。

そこで、サラリーマンが行う副業として人気が出てきている投資で可能な限りお金を増やすためにも、節税がどれだけ必要であるかを整理していきましょう。

1-1.資産形成は手元に残るお金を多く残すことが重要

副業を始める方の多くは、より多くの収入を得ることで資産形成をしたいと望んでいることが大半です。

その希望を叶えるために副業をして収入源を増やすことは良いのですが、それに加えて支出を少なくして、できる限り多くのお金を手元に残すためにはどうすれば良いのか考えることも重要です。

つまり、副業によって収入をより多く得るためには、税金による手取り収入の目減りを防ぐためにも節税をすることが必須となります。

1-2.投資を副業にするなら節税が必須

投資は労働とは違うかたちで収入が発生するため、節税の意識が薄くなってしまう方もいらっしゃいますが、実は投資で得た利益も課税対象となります。

このことを知らずに普通に投資をしているのと、節税対策をしっかり行いながら投資をするのとでは、長期的に見て手元に残る金額に大きな差が生じてきます。

つまり、サラリーマンが投資を副業に選んだ場合でも、節税が必須となります。

では、投資を副業とした場合はどうすれば節税できるのでしょうか?

1-3.投資の節税は「NISA」や「iDeCo」が有効

結論から申し上げますと、投資の節税を行うなら「NISA」や「iDeCo」が有効だと考えられます。なぜならば、この2つを利用して株や投資信託などの運用を行うと、それによって得た利益は条件を満たせば非課税となるからです。

従って、これから投資を副業に選ぶなら、「NISA」や「iDeCo」の知識を持つことは非常に重要です。

このことが理解できたところで「NISA」や「iDeCo」を利用した節税術を、次で詳しく確認していきましょう。

2.知らないと損をする投資を副業にする時の節税術

先ほど述べた通り、サラリーマンが投資を副業にした時は「NISA」や「iDeCo」を利用することが有効です。むしろこの2つを利用した節税術を知らないと、損をするといっても過言ではありません。

では、これらの節税術とはどういったものなのかを解説していきます。

2-1.NISAを利用した節税術

NISAはこれから投資しようと考えている方にとってかなり心強い味方となる仕組みなので、まずはNISAとは何かを軽く説明してから、賢く節税するポイントをご紹介します。

2-1-1.NISAの概要

株式や投資信託などによって得た利益は、課税対象として約20%の税金が課されることが一般的です。しかし、NISA口座で株式などを購入して運用した場合は、利益が発生しても非課税となります。

これはつまり、投資で1万円の利益が発生した場合、普通は2,000円の税金が引かれて手元に残るお金は8,000円になりますが、NISAを利用すれば1万円がそのまま手元に残るということです。

また、年間の投資金額は120万円の上限が設定されていますが、この範囲内の投資分は所得控除となるため、比較的大きく節税することが可能です。

この非課税枠は2023年12月31日までとなるので、2023年に投資をした場合は2027年までの5年間が非課税となります。

このように、NISAは投資の節税に適した仕組みを持っており、賢く使うことでより効果的に節税することが可能となります。

2-1-2.NISAで賢く節税するためのポイント

NISAは毎年120万円の非課税枠が増えていくようになっており、非課税の期間はそれぞれ5年間となっています。もし、この期間の途中で株などの金融商品を売った場合、この非課税枠は再利用できなくなるため注意が必要です。

なぜ注意する必要があるかというと、短期売買を繰り返すとすぐに非課税枠を使い切ってしまい、利益が課税対象となってしまうからです。

それを防ぐためにも、長期投資向けの株や投資信託を買い、非課税枠いっぱいに投資をした方が、節税による利益は大きくなると考えられます。

以上の方法によってNISAをうまく運用すれば、最大で約600万円の投資総額を非課税とすることが可能です。

また、2018年からつみたてNISAも施行されています。つみたてNISAは毎年の投資額に40万円の上限が設けられており、扱える金融商品は上場株式投資信託などに限定されています。

しかし、非課税期間は20年間であるうえに2037年まで投資が可能であるため、2037年につみたてNISAを始めたとしても、その後20年間は投資信託による利益を非課税とすることができます。

従って、通常のNISAと同様に長期間の投資を行えば、最大で約800万円の投資総額を非課税にすることが可能です。

2-2. iDeCoを利用した節税術

次にiDeCoを利用した節税術を解説していきます。iDeCoは先ほどご紹介したNISAとは違う仕組みを持っているため、まずは概要から確認していきましょう。

2-2-1. iDeCoの概要

iDeCoは自分で掛金を拠出して定期預金や投資信託などを運用し、拠出した掛金の合計額や運用成績に応じた年金を受け取ることができる制度です。

iDeCoはNISAと同様に運用によって得た利益が非課税になることに加えて、掛金が全額所得控除の対象となります。従って、所得税を払っているのなら、積立中でも大きな節税メリットを受けることができます。

さらにお金を受け取る時も、年金として受け取るなら公的年金等控除、一時金として受け取るなら退職所得控除の対象となります。

つまり、iDeCoを利用すれば自分で年金を作ることができるだけでなく、運用利益を非課税にすることや様々な控除を受けることによって、比較的大きな節税効果を得ることができます。

2-2-2. iDeCoで賢く節税するためのポイント

iDeCoは自分で年金を積み立てることが目的であるため、60歳までは途中解約による積立金の受け取りはできません。

このことを考慮すると、iDeCoは月々5,000円以上から積立ができるので、できる限り早く始めた方が節税や年金受給の恩恵を受けやすくなるといえます。

3.サラリーマンの副業の節税は「NISA」と「iDeCo」のどちらを選ぶべき?

これまでに述べたことによって、「NISA」や「iDeCo」が投資による副業の節税に有効なのは理解できても、どちらを選ぶべきなのか迷うかもしれません。

そこで、目的別にどちらを選ぶべきなのかお教えするので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.年金の準備なら「iDeCo」が有効

iDeCoは掛金の拠出を開始した時点で年金の受給権が発生するうえに、自分で掛金を出すことからいつからiDeCoを始めたらいくら年金を受給することができるなど、老後の資金計画を立てやすいメリットがあります。

従って、iDeCoは節税をしながら年金を作ることに向いているといえます。

3-2.60歳前に資金を受け取るなら「NISA」が有効

「iDeCo」は60歳以降にならないと年金を受給することができませんが、「NISA」は自分の意思で自由に換金することができます。

このことから、投資による利益を効率的に確保したい場合や、60歳前に資金が必要になる可能性がある場合に向いていると考えられます。

3-3.結論は「両方とも行うべき」

「NISA」と「iDeCo」は、それぞれ特徴や適した目的が異なります。

しかし、資産形成をするには複数の投資をする方が効率が良く、リスク分散ができて安全性も高まるため、どちらをするべきか選ぶよりも「両方行う」ことを推奨します。

4.まとめ

年金の不足や収入が確保できる保証がないなどの不安によって、副業として投資を始める方は増加傾向にあります。

その行動自体は正解なので、それに加えて「NISA」や「iDeCo」を利用してうまく節税を行い、さらに効率的に、より多く資産を増やせるようになってください。

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